「アメリカは製造業大国である」——年勇元国家発展改革委員会産業司司長の警鐘

2025/05/1 15:35

中国国家発展改革委員会の元産業司司長である年勇(ニエン・ヨン)氏は、最近の講演において次のように強く主張した。

「アメリカは製造業大国であり、これまで一度も製造業を放棄していない。もし我々中国がこの認識を誤れば、新しい概念にばかり目を奪われて、最終的に大きな代償を払うことになるだろう。」

年氏は、現在の中国社会で最も大きな誤解の一つが「製造業は時代遅れであり、今や語るべきはビッグデータやクラウドコンピューティング、ブロックチェーン、量子計算である」といった風潮であると指摘する。これこそが「最大の問題」だと述べた。

「製造業は依然として我が国の経済の基盤であり、科学技術の実体的な担い手だ。国家の科学技術レベルと経済力は、どれだけ製造業が発達しているかにこそ現れる。私は人類の進歩は製造業の進歩であると考える。」

その上で、米国の実態についても具体的に分析した。

「昨年、米国のGDPに占めるサービス業の割合は81%であり、これをもって『アメリカは脱工業化社会』『製造業は不要』という誤解が広まっている。しかし多くの人が知らないのは、この81%のうち60%以上が“製造業を支えるサービス”だということだ。」

つまり、サービス業の大半は製造業と密接に結びついており、製造業自体のGDP比率11%と合わせると、実にアメリカ経済の60%以上が製造業およびその関連産業で構成されているというのだ。

「米国は常に製造業を重視してきた。つい先日もトランプ元大統領は『アメリカを世界最大の製造業国家にする』と発言している。これは中国依存を断ち切るという意志の表れだ。」

年氏はこうした現実を無視して、ただ「新しい概念」に踊らされる風潮に対し、明確な警告を発した。

「もし中国が製造業の重要性を見誤れば、今後我々は深刻な代償を払うことになる。」

この発言は、中国がAI、半導体、新エネルギーといった“新興技術”に注力する中、基幹産業としての製造業を見直すべきだという警鐘でもある。

年氏の指摘は、「ハードな現実」に目を向け、浮ついた流行語ではなく、国の根幹を支える産業戦略をどう築くかという本質的な問いを我々に突きつけている。

(中国経済新聞)