マイクロソフト、「中国撤退」報道を否定

2025/04/9 13:30

4月7日、「マイクロソフトが中国における事業運営を停止する」との情報が中国のSNS上で急速に拡散された。このニュースは一部の業界関係者やユーザーに衝撃を与え、中国のIT業界にも動揺が広がった。

しかし、マイクロソフトは同日、この報道を否定した。広報担当者は、「マイクロソフトが中国での運営を停止するという報道は事実ではない」としたうえで、「微創軟件(Wicresoft)の事業や運営に関する問い合わせは、同社に直接確認してほしい」とコメントした。

問題の発端は、マイクロソフトの中国における主要な外部ベンダーである上海微創軟件股份有限公司(以下、微創軟件)が、一部社員に送った内部メールのスクリーンショットにある。このメールでは、「地政学的な状況や国際的なビジネス環境の変化により、マイクロソフトはグローバルな戦略の再構築を進めており、4月8日をもって中国区における業務を正式に終了する」と記載されていた。

この発表により、マイクロソフト関連のプロジェクトチームも業務終了となる見込みであり、微創軟件としては、今後ベトナム、日本、ハンガリーなど欧亜地域での海外展開を積極的に進める意向を示している。さらに、影響を受けた従業員には海外での職務機会を優先的に提供する方針だという。

同社のある社員は中国メディア「財新」に対し、メールの内容が事実であることを認め、「突然のことで皆驚いている」と語った。さらに、今回の動きの背景には、米国バイデン政権による対中政策が影響しているとの見方が社内では一般的だという。影響を受ける従業員は1000~2000人とされ、北京や上海、広州など複数都市に及んでいる。微創軟件は従業員に対して「N+1」の補償方式での退職提案を行っている。

実際、米国政府による中国のハイテク産業への規制強化が進む中で、マイクロソフトも中国における一部業務の縮小を進めてきた。今回のような外部ベンダーとの提携関係の見直しも、その流れの一部とみられる。

表面的にはマイクロソフトの公式立場として「中国撤退」は否定されているが、現実には段階的な縮小や再編が進んでいることは否定できない。特に技術移転や人材の海外移動など、今後の動向は中国IT業界にも大きな影響を及ぼすだろう。

(中国経済新聞)