2月に入りアメリカが相次ぎ追加関税を打ち出したことで、中国の越境EC各社が影響を受けている。トランプ大統領は2月1日、中国から輸入される商品に10%の追加関税を課し、小口貨物に対する免税措置を取り消すとの大統領令を下した。さらにアメリカは2月6日、一旦中止していた中国本土や香港からの小包の受け入れの再開を発表した。また2月7日には、最低限度(800ドル未満)の輸入商品に対する課税免除措置を中止すると発表している。
このような度重なる動きで、小売り業界が影響を受けている。2月5日からの5日間のアメリカでの売上高について、SHEINは16~41%、Temu は32%の大幅減を記録した。
また一方、アメリカの消費者も信頼を失っている。ミシガン大学の消費者信頼感指数によると、この2月は2024 年 7 月以来となる約 5%もの落ち込みを記録した。この調査のディレクターをつとめるJoanne Hsu氏によると、耐久消費財の購入条件は12%ダウンしており、関税政策のダメージ回避が手遅れだったと見られることが原因と表明している。また、インフレが再び押し寄せることを心配する声も高いという。
出品者が生産のみを受け持ち、アプリが商品の輸送や価格決定、販売を受け持つ、という完全委託モデルは、サプライチェーンがしっかり確立し、商品の輸送や管理などについて、規模拡大により経済的メリットが生じる。
Temuはここ2年間、このスタイルで急拡大を果たした。Sensor Towerのレポート「2025 年State of Mobile」によると、2024 年の全世界のダウンロード数の中でTemuがトップ、次がSHEINとなっている。またこの中で、「中国のEコマース業者はサプライチェーンが整備されているので配達料を無料としたり商品価格を抑えたりすることができ、消費者がインフレや金利や政治的な不安といった問題への対応に努めている中、価格面で世界的に支持されている」と指摘されている。
ただしこの完全委託モデルは問題も少なくない。2023年に越境EC各社が導入し、ある玩具の出品者は「アプリに品物を出せば注文が入って来るので楽だ」と表明していた。しかしアプリが規模を拡大すると、出品者は注文を得るために値下げして利益が狭まり、アプリも品質問題や返品などで罰金を科すなど、状況が変化してきた。出品者はまた、このモデルでは消費者と直接コンタクトをとることができず、商品を改善する際に受け身に立たされてしまう。
このモデルを敷いていたアプリ側が今、アメリカの追加関税による影響をかわそうと努力している。Temuは半委託モデルに切り替え、新たな枠組みの出品者を優先的に採用するといったメッセージを発しているという。
業界の専門家は、このような政策が講じられた中ではブランド性のない店が影響を受けやすいと言っている。出品者について、安物を扱っている方が影響が大きく、ブランド品を中心に価値の高い物を売っている業者は影響が小さいという。アプリが半委託モデルへと移行しつつある中、オンラインでの営業力に欠けた企業はかなりの打撃をこうむり、アプリへの依存度が高い出品者はもろに事業に響いてくる。流れから見て、ブランド化は越境EC各社が取り組むべき方向で、打開策であり、グローバルなブランドを形成することが目標となる。産業チェーンのメリットを生かし、越境ECの新たなモデル導入も進んでいる中国のやり方は、こうしたブランドのグローバル化をする上でいい方策と言える。
(中国経済新聞)