12月4日、ドイツの高級スポーツカーメーカー・ポルシェ(Porsche)は、中国で研究開発を担う技術部門を設けると発表した。中国法人のアレクサンダー・ポリッヒCEOに直接報告するということで、ベンツの幹部であった李楠氏が副代表に就任する。研究開発のほか、現地の仕入れや品質保証も担当する部署になる。
ポルシェは2023年、販売台数は320,221台で前年比3.3%増であったが、中国では納入数が同じく15%減の79,283台とあまり芳しくなく、今年1~9月の販売数も-29%の43,280台にとどまっている。こうした状態から今年5月に、出血販売をしたとして一部のディーラーが抗議や不売運動をしたとも伝えられている。値引き合戦や電動化、スマート化といった要望への重圧がこのような不振につながっていると指摘されている。
ポルシェは現在、フルEVとしてMacanとTaycanを発売しているが、スマート化については中国製EVに後れを取っている。社内関係者によると、中国ではデジタル化やコネクテッドに対する要望がとびぬけて高く、世界的な汎用化への取り組みも効果が薄いという。
マッキンゼーの「2024年中国自動車消費者インサイト」によると、中国では先進的な自動運転機能やスマートシートを備えた高級型の新エネ車が人気を集めている上、自動車購入の際にスマート化を主な条件にあげる人が54%に達しているという。ポルシェの現地法人はこのような傾向に合わせ、新たに技術部門を設けて現地での開発と技術革新を深く結びつけ、製品とサービスをより適格なものとしていくと表明している。現地での開発陣容を強化するための重要な一歩であるという。
また中国では、ポルシェだけでなく同じくドイツ勢のベンツやBMWも、本国以外では最大となる自動運転やスマートシートの開発を手掛ける事業所を設ける。ベンツは2025年までに、中国のパートナーとともに、一部車種を中国側スタッフが開発する形で、140億元(約2889億円)以上をかけて現地の大規模言語モデル(LLM)をベースにしたスマート運転支援システムを打ち出す予定である。
「申港証券」によると、中国の新エネ車産業チェーンは技術や規模、コストなどで世界のトップレベルに立ち、国産メーカーが電動化を通じてより差をつけているという。新エネ車のアナリストである楊昭氏は、「中国メーカーは『三電』技術やスマートシート、自動運転といったメリットを背景に、『市場をもって技術と交換』から『技術輸出』へと移行している」と見ている。
(中国経済新聞)