中国で資産圧縮経営をしているフランスの自動車大手ルノーは、開発力の立て直しを狙い、新エネ車産業チェーンをバックに競争力を高めようとしている。
ルノー中国法人に近いある関係者は、「新たに結成される開発チームはルノーの完全子会社アンペール(Ampere)に所属し、ルノー本社に報告する。事業全体の委託先会社は上海竜創汽車設計(以下「竜創」)となる」と述べた。ルノーは、電池の調達についてはCATLとの提携が合意済みという。
ルノーは10月30日夜、EVの開発を加速するため、中国で設立した開発チーム「Advanced China Development Center」をアンペールが活用する形で中国側のパートナーと緊密に連携していくと発表した。このチームは、開発段階で中国のEVの事業体系を取り込み、参考にする形を通じてアンペールやルノーの成長を進めるために発足したものである。
電動化やスマート化について先行メリットのある中国の自動車メーカーは、完成車を海外に出しているほか、ここ数年は業界内各社も含めて技術を海外に移転するケースも増えている。
ルノーだけではない。VWも安徽省合肥の開発センターで取り組みや重みを強化する方向であり、さらにはEVメーカー「小鵬汽車」(Xiaopeng)や自動運転向けAIチップ大手「ホライズン・ロボテックス」(Horizon Robotics)など、中国の業界各社と提携している。またイギリス自動車大手のジャガー・ランドローバーは、中国の奇瑞汽車のプラットフォームを使って「フリーランダー」(Freelander)を復活させ、中国の新興EVメーカー「零跑汽車」(Leapmotor)も欧米系自動車大手ステランティス(Stellantis)に新エネ車関連の部品を供与するという。
ルノー中国の会長兼CEOである蘇偉銘氏は以前、「新たな電気化ステップで、これまでのパワートレインから三電システム(モーター、制御、バッテリー)に切り替わっている。中国は先行メリット、コストメリット、エンジニアリソースがあり、世界の先端を行っている。世界的な競争で原材料や電池などの開発について4~5年先行している」と述べている。
海外の自動車メーカーの間で、スピーディーで低コストである中国の自動車メーカーと連携を強化する動きが進んでいる。上海のある自動車メーカーの企画部社員は、「同じプラットフォームで、ヨーロッパの人手やサプライチェーンで開発する場合、量産型の車種は中国で開発する場合と比べて1台当たり1万~2万元(約21.4万~42.8万円)余分にかかる。ヨーロッパのメーカーやサプライチェーン体系ではコストで戦えるEVは作れない。時間的にも、ヨーロッパでEVを開発するには36か月は必要だが中国では最短で24か月で済む」と述べている。
(中国経済新聞)