中国のドローン大手、大疆創新科技(DJI)がアメリカ東部時間2024年10月18日、CMC制裁リストに誤って掲載されたとして、アメリカ国防総省を提訴した。DJIは「常に民間ドローンの応用と技術革新に尽力しており、軍事目的での使用には反対だ」と称している。
CMCリストとは、アメリカ国防総省が「2021年度国防権限法案」の1260H条に基づき制定した中国軍の協力企業リスト(Chinese Military Companies List)であり、アメリカで直接または間接的に事業展開している中国の軍事企業をふるい出すものである。2024年 1 月に更新された際、DJIや半導体大手のAMEC (中微半導体設備(上海))などが新たに追加された。
DJIはこれまで、「軍事目的の製品や機器の設計や製造はしていない」と繰り返していた。去年、「インドの軍から巨額の発注を受けた際に『インド市場はリスクが大きすぎる』と拒否した」と伝えられていたが、DJIはこれを否定し、「軍事目的で利用されるドローンは輸出しない」と表明した。DJIは2022年にも、「グローバル事業についてコンプライアンスを見直しており、当面の間はロシアやウクライナでの商業活動を一切中止する」と表明している。
DJIは2020年、アメリカ商務省産業安全保障局(BIS)により、輸出規制の対象となる「エンティティリスト」に指定された。去年はアメリカ市場から撤退するとも伝えられたが、これは否定している。また最近、販売店に対し、アメリカで税関や国境警備局が一部のドローンの持ち込みを制限していると連絡したとの情報が流れたが、DJIはこれについて「アメリカ当局はDJIのドローンを押収する理由はない。ウイグル強制労働防止法(UFLPA)を守っているとの証明書類を税関に差し出している」と表明している。
今回同じくCMCリスト追加対象となったAMECも、DJIによる提訴の前の8月に「アメリカの裁判所に起訴状を交付し、国防総省を提訴へした」と表明している。AMECの会長兼総経理である尹志堯氏は、「裁判所が『AMEC をCMCリストから削除する』という正しい判決を下すと信じている」と述べた。今年前半には中国でLIDARを製造しているホーサイ・テクノロジー(禾賽科技)が、「軍に関わる企業リスト」に加えられたことでアメリカ国防総省を提訴し、その後リストから削除されている。
(中国経済新聞)