香港証券取引所は、自動運転向けの人工知能(AI)チップの開発を手掛ける北京の「地平線機器人技術研発」(Horizon Robotics=ホライゾン)について、上場に向けてのヒアリングを終了した。2015年に設立され、乗用車の運転支援やスマート運転ソリューションに特化し、これまで34億ドル(約5069億円)以上の融資を得ているホライゾンに対し、中国証券監督管理委員会は今年8月に域外での上場に向けて通知書を発行しており、最大で11.54億の域外上場普通株を発行して香港で上場することになる。
ホライゾンは2023年、先進運転支援システム(ADAS)および自動運転ソリューションの搭載量について、市場シェアが国内4位となる9.3%であった。このうちADASについては2位の21.3%で、上位5社のうち唯一の中国企業であり、トップのMobileyeとの差はわずか5.3%であった。
ホライゾンの売上高を見ると、2021年~2023年は年平均82.3%の割合で増え、2024年上半期は前年同期比151.6%増のおよそ9.35億元(約196.8億円)であった。ただし大口顧客への依存度が高いというリスクもあり、今年上半期は売上分のうち上位5社が占める割合が、去年1年間の割合より9.1%高く77.9%になっている。主な取引先は理想汽車(Li Auto)、VW、上汽集団で、特にVWの子会社「CARIAD」との合弁会社「カリゾン」(CARIZON)への売上高は2023年が6.27億元(約132億円)、2024年上半期が3.51億元(約73.9億円)で、成長に大きく貢献している。
好調を維持しているホライゾンはしかし、多額の赤字を抱えている。2021年~2023年の年間純赤字額は順に20.64億元(約434.6億円)、87.2億元(約1835億円)、67.39億元(約1419.6億円)となっており、2024年もさらに増える見込みである。この主な理由は研究開発費の増大であり、2021年~2024年上半期の費用は順に11.44億元(約240.5億円)、18.8億元(約395.9億円)、23.66億元(約498.3億円)、14.2億元(約299.9億円)となっている。また売上に占める割合は順に245%、207.6%、152.5%、151.9%と推移している。
ホライゾンは、今回IPOに向けて調達した資金を、ADASや先進自動運転ソリューションの基幹技術など、スマート運転への研究開発の増強のほか、販売の拡大やマーケット普及などに利用する。ホライゾンのこれまでの運転支援システムはエントリークラスが多く、同クラスのエヌビディア品より計算力が劣っている。
(中国経済新聞)