「張濱二胡音楽会2024東京公演」円満開催:二胡の音色が、国境を越え、世代を超え、多くの人の心を包む

2024/09/14 17:31

中国の伝統行事中秋節を前に「張濱二胡音楽会2024東京公演」が9月13日、昨年に続き由緒ある舞台東京・上野の国重要文化財「旧東京音楽学校奏楽堂」で開催された。

本音楽会では、張さんが作曲した『絆』や『大地の歌』、『風月同天』の他にも、二胡独奏曲『万馬奔騰』、モンゴル民族の祭りで行われる競馬をテーマにした『賽馬』、さらに西洋名曲ジュールマスネ作曲の「タイスの瞑想曲」、サン・サーンス作曲の「白鳥」もが二胡で奏でられた。13日の月見コンサートでは計13曲が、佐藤光さんのチェロ、宮下はる美さんのピアノ、内田一晟さんのバーカッションとともに演奏された。

音楽会開催にあたり、中華人民共和国駐日本国大使館の陳諍公使参事官は「二胡という中国の伝統楽器は、その独特な音色と深い感情表現で中華文化の豊かさと長い歴史をささえています。それは中国の伝統民族音楽の重要な一部であるだけではなく、中日両国の文化交流の架け橋でもあります。「中日文化交流協定」締結45周年を迎え、今回の公演を開催することは、さらに深い意義があります。本公演が日本の観客の皆様に、ハイクオリティ、ハイレベルな芸術をお届けし、中日両国民の相互理解と友誼に繋がると信じています。最後に、公演のご成功を祈念し、お祝いの言葉と致します」と祝辞を述べた。

また、公益財団法人日中友好会館の中国代表理事黄星原氏より「中国と日本は一衣 水の隣国同士、友好と協力がキーワードです。国民の一人一人が、互いの文化芸術を通した理解をふかめていくことが大切でしょう」と言葉を頂きました。衆議院議員日中友好議員連盟幹事長の近藤昭一氏が、「「先生の2本の弦から奏られる音色は、国境を越え、世代を超え、多くの人の心包み込んでくれます。また、この間、多くの二胡演奏者を育てられ、チャン・ビン二胡演奏団は、幅広い年代の方が所属されて年々大きくなり、特に東海地区において、その活躍は目覚ましいものがございます。昨年に引き続いて旧東京音楽学校奏学堂講演を契機とし、全国にその輪がさらに広がっていくことを期待しています」と祝辞しました。

張さんは、今年で来日31年目を迎える。二胡の演奏だけでなく2008年よりNPO法人「チャン・ビン二胡演奏団」を創設し、日中文化交流に関する事業を行い二胡愛好者と中国文化への理解者の増進を図ることにより、市民レベルでの「日中友好」の発展に努めてきた。そして2015年には、こうした張さんの日中交流活動に対する貢献を称え小原総領事より「在外公館長表彰」が授与された。

張濱(チャン・ビン)さんは、国内外で活躍する中国の著名な二胡奏者。遼寧省出身で7歳から二胡を学び18歳の時、中国でプロデビューを果たした。1992年、周囲の反対を押し切り国家公務員の演奏家生活を捨てて来日。愛知県立芸術大学などで計9年間学び、その間、愛知大学の二胡部でボランティア指導を続けていた。そして、熱心に二胡の練習をする日本人大学生たちや演奏会で涙を流して「生きていてよかった」と手を握ってくれた年配女性との出会いによって、二胡は言葉を超えて日本の人々と絆を結ぶことができると感動し、日本で二胡の道を歩む決意をする。2000年、日本初の二胡芸術ビザを取得、2005年の愛知万博ではEXPOドームで二胡史上初となる外国人122名による大合奏を披露。その後もNHKや中国中央電視台(CCTV)で演奏会が放送されるなど、現在まで日中交流親善の音楽活動を国内外で幅広く行っている。また2,022年の日中国交正常化50周年記念慶典では、娘の張日妮(チャン・ヒナ)さんや東儀秀樹さん等とともに締結記念日コンサートに出演した。日本と中国の分か交流の促進に尽くしたとして、令和5年度外務大臣表彰受賞。

音楽会のパンフレットには、「私の人生は日本と中国が友好だからこそ導かれてきました。これからの未来も平和友好であるように、二胡の絆を世界に伝えていきたいです」と綴られている。二胡が日中両国民の心の「絆」となり、そして平和を象徴する音楽が日中友好の美しい「音色」となることを願い、今後も張さんの演奏は多くの日本人へと届けられる。

(中国経済新聞)