アップルは北京時間9月10日に秋の発表会を開催予定である。過去の例から新機種となるiPhone 16およびiPhone 16 Proシリーズが披露されるものと見られ、すでに各業種などが品揃えに急いでいる。
今年のハイライトは、中国とインドで同時に組み立てを始めることと、これまで主に中国で生産されていたProシリーズが初めてインドで生産されるということである。業界内でも関心が寄せられ、インドのメディアは「画期的だ」と報じている。
インドではアップルの製品について、これまでは新機種が発売されてしばらく経ってから試験的にトライしていたが、今年の新たな取り組みはすなわちインドが最高級の機種を組み立てる力を備えたことを意味し、「中国との時間差生産」もなくなる。
産業チェーンで世界的に駆け引きが進む中、アップルのインドでの事業や課題に注目が集まっている。
会社別に見たiPhoneの組み立て割合について、2024年3月時点の公開情報によると、フォックスコンが67%近くを占め、和碩(ペガトロン)がインドで約17%を製造、残りは台湾の電子機器製造会社「緯創」(ウィストロン)を買収したインド最大のグループ企業「タタ・グループ」が実施している。ただしタタ・グループは600億ルピー(約合51億元)を費やし、従業員数は最大50000人という新工場が早ければ今年9月に稼働予定であり、インドで有数のiPhone組み立て工場となる。
タタ・グループは2023年末に緯創のインドでの事業を買収しており、アップルにおけるインドでの提携先メーカー3社の1つになっている。
中国・インド・ベトナム電子(携帯電話)企業協会の楊述成事務局長は、「インドの工場の良品率は、作業員の効率や設備の安定性、サプライチェーンの整備具合などから、中国やベトナムより10%ほど劣るが、おおむねアップルがコントロールできる範囲内だ」と述べている。
フォックスコンはアップル携帯電話の良品率について、河南省鄭州では98%以上であり、よってインドで製造されるiPhoneは85%以上と見られる。
インドの携帯電話製造業は実のところ、思ったほどは遅れてはいない。
2005年にはサムスンがインドに携帯電話の生産ラインを設け、2007年に稼働開始している。サムスンの携帯電話は今、ベトナムが海外主力生産基地となってはいるが、インドも重要拠点の一つである。1996年に設立されたサムスンの世界有数の生産基地であるノイダの工場は、スマートウェアラブル、薄型PC、OLEDパネルなど様々な製品のラインがあり、最新のGalaxy S24シリーズの全機種を生産している。
また一方、シャオミ、OPPO、vivoといった中国のスマホメーカーもインドで中~高級タイプの生産に乗り出している。業界内では、貿易摩擦が生じている中、アップルがサプライチェーンの安全性や販路の確保に向けて生産を分散化させようとしているのは必然の策だとの見方が広まっている。
アップルは2、3年前、中国、ベトナム、インドを世界の主力生産拠点にするとの構想を打ち出しており、現在は中国では地元利用分を生産、ベトナムではiPhone以外の製品を生産、そしてインドでは主に世界的に販売するiPhoneシリーズを生産するなど、取り組みは徐々に実現しつつある。
(中国経済新聞)