中国で、これまで安定成長してきた乳製品業界が2024年上半期は近年にない不況にあえいだ。各社ともすでに中間決算を発表している中、売上高について、全国範囲で見た上位5社の合計額が2023年上半期の146億元(約3003億円)からおよそ1割減となっている。
この主な理由は会社側の調整によるものであり、各社とも在庫を減らして事業を健全化するために出荷を控えた結果、収益も減ってしまった。乳製品の国内需要が2024年の春節以降なかなか回復せず、在庫が増えてしまい、やむなくこのような措置を講じたわけである。
さらにこの上半期は、業界内がつぶし合い状態となっている。消費量が伸びない中、原乳の製造業者が過剰分を安値でばら売りしてしまい、これを中小の事業者が手に入れて低価格を武器に市場を奪ったことで、大手各社の売上が落ち込んでしまった。
あくまでも調整が原因であるが、乳製品の消費が全体的に弱まっている様子も浮き彫りになっている。大手各社が今年の業績発表会で、突破口を探るべく討議をしていた。需要が薄くなった今、二次加工に力を入れ、機能性飲料や個性派商品による売上増を目指そうとしている。
中国農業農村省の馬有祥副相は第15回乳業大会で、「国内の乳製品消費量は2022年から一転して下降線をたどり、供給構成と消費需要のミスマッチが顕在化している」と指摘した。液もの商品は多いが固形商品は少なく、高級品は多いが一般品が少なく、消費も都市部で多く農村部で少ないという現象が、現在の乳製品市場の特徴であるという。
メーカー側はすでに改良商品を出そうとしているが、それでも需要の変化には追いついていない。値段ほどの価値がないと批判されている新商品もある。業界内では、「低迷期ではあるが、産業構造が改善し商品の構成が改まるきっかけともなる」と見られている。
(中国経済新聞)