IBM、中国の研究開発部門を閉鎖 社員1000人以上に影響

2024/08/28 07:30

IBMは8月26日、中国の研究開発部門を完全に閉鎖することを明らかにした。人員削減で1000人以上に影響が出る。同社の声明によると、運営を改善するためであって大中華圏での顧客サポートについて影響はないとしている。中国での重点対象を民間企業や一部の多国籍企業に変えていくという。

IBMにとって中国は、アメリカ本土を除くと最も事業体制が整った地域である。今回の措置は、40年に及んだ現地事業における大きな転換点となる。IBMは1934年に北京協和病院に対しパンチカード作表機を納入、1984年に中国へ本格進出を果たしており、ファーウェイの創業者である任正非氏は同社を「師匠」と呼んでいた。

今回閉鎖されるのは、主に開発やテストを受け持つ中国開発センター(CDL)と中国システムセンター(CSL)であり、影響が出る社員に対して「勤続年数+3」か月分の給与を支給する方針である。これについて、あるベテラン社員は「何十年も勤務してきた立場から、この期に及んでとても残念なことだ」としみじみ語っている。

今回の動きについて、業界内ではあっさり受け止められている。IBM中国法人で20年近く勤務していたというあるAIスタートアップ企業の立ち上げ人は、「事業を継続する中で当然のことであり、業界に対する示しでもある」と語っている。またアメリカの複数のソフトウェア会社での勤務経験を持つ人は、「IBMは研究開発事業のほとんどをアメリカに戻しており、今回閉鎖される中国の部門はほぼテスト担当者であって主担当者ではない」と指摘している。

IBMはだた、こうした中でも中国市場に対する期待感を表明している。アジア太平洋地域トップのHans Dekkers氏は8月22日に行われたIBM中国のエンタープライズAIフォーラムで、「今年は中国に進出して40年目だ。これからの40年、あるいはそれ以上にわたり引き続き中国で足場を固めたい」と述べた。オープンな技術が中国と世界をつなぐ重要な架け橋となると強調している。

世界的にAIが普及していく中、IBMはある程度の成長を果たしてはいるが、伸びは鈍い。今年1月には全世界で計3900人を削減すると発表しており、すべての社員のAIスキルを大きく向上させて8000人分の仕事をAIに委ねるとの計画を立てている。

(中国経済新聞)