中国の映画情報サイト「灯塔専業版」によると、シュー・ジェンが主演した作品「逆行人生」が北京時間8月12日18時点、興行収入1.94億元(約40億円)となった。ブログラマーだった中年エリート社員が失業したのち飲食配達員となることで、世の中を生き抜くことのつらさを表現した物語である。
映画の主役を演じた徐峥(シュー・ジェン)氏は8月10日、上海でのプロモーションイベントで配達員を務めていたころの生活について語った。物を手渡す時には誰も自分であることに気づかず、配達員を相手にしてもほとんどの人はただ受け取るだけで相手の顔は見ないということが分かった。このため映画では、配達員をアップにした場面をかなり多く取り入れ、背後にそれぞれの人生があるということを表現している。
映画では、配達員の置かれた境遇をかなりリアルに表現している。差別化した給与制度を導入していることから、つぶし合いが激しくなって稼ぎがどんどん減ってゆく。新米が遠方で見返りの少ない注文を受け、都会の混雑具合や飲食店の場所に詳しくなるまでま、配達先不明、注文のキャンセル、届け先行方不明などで痛い出費を迫られ、配達が遅いと批判を受け給与カットとなる。カウントダウンの音声がとてつもないプレッシャーになり、1秒を惜しんで配達を終えなくてはならない。割のいい注文を手にするためにどんどんと仕事を受けなくてはならず、交通事故を起こした際も配達時間の方を心配する人さえいる。こうした境遇の背後に、体制や賃金面の不合理な面が垣間見えてくる。
中国では、配車の運転手、宅配便や飲食物の配達員といった新手の雇用形態の労働者が8400万人に達しているという。今回の映画についてシュー氏は、同じく主演を務めた「薬の神じゃない!」(2018年上映)のように社会的な反響または変化を招くのではないか、という観客の声に対し、「映画はたいてい、問題をじかに解決することはできず、問題を提起するものであり、気持ちの面で共感やアイデアを引き起こす」と答えている。
シュー氏は、映画で現実は変えられないが心を変えることはできると見ており、こうした心の変化により、配達員にいい評価を下すようになるなど、行動面で変化を起こすことができるという。「毎日つらい日々を過ごし、暮らしぶりも不安定で時間も確約できない中、出来る限り自分をいたわり、同じように他人をいたわる、こうすれば感情やぬくもりが通い合う」と語っている。
(中国経済新聞)