オリンピックの背後にあるスポーツ経済:中国がスポーツ用品の最大輸出国に

2024/08/15 13:30

パリで開かれていた第33回夏季オリンピックが、現地時間8月11日に閉幕した。

世界で最も注目されるスポーツ大会であるオリンピックは毎回、全世界で大変な数の人が目を向ける。国際オリンピック委員会(IOC)は8月2日の記者会見で、今大会について「クラウドによるライブ配信のおかげで視聴率が過去最高になり、ネット配信の閲覧数も過去2大会の合計を上回るものとなった」と発表した。

大会が順調に開催されたことで、フランスの経済回復ももたらされた。フランス国立統計経済研究所(INSEE)が大会終了前に発表したレポートでは、オリンピックは第3四半期の国内総生産(GDP)成長率に0.3ポイント寄与したという。このうちチケット販売やテレビ放映権収入が0.25ポイント、観光客の増加による交通や宿泊、飲食などが0.05ポイントとなっている。INSEEはまた、オリンピックの開催でまずは国内経済を刺激する効果が生まれ、長期的には観光業にプラスになると見ている。

また世界貿易機関(WTO)のレポートでは、スポーツ用品の貿易額が過去30年間で4倍近く増加し、利用者もオリンピック選手だけでなくフィットネス愛好者や一般市民へと拡大しつつあるという。WTOによると、スポーツ用品の輸出額は1996年にはおよそ150億ドル(約2.21兆円)であったが、2022年には640億ドル(約9.43兆円)となっている。

WTOがデータをフォローしてきた30年の間に、中国が世界最大のスポーツ用品輸出国となり、一方でEUやアメリカが主な輸入先となっている。すべてのスポーツ用品輸出分における中国の占める割合は、1996年には32%だったが、2010年にはピークの59%に達した。2022年には43%まで下がったが、ラケット類の輸出が特に目立ち、全世界の63%を占めている。

中国国家統計局や国家スポーツ総局の最新データによると、2022年、中国のスポーツ産業の規模は前年比5.9%増の3兆3008億元(約67.7兆円)で、2014年と比べると143.2%増となっている。GDPにおけるスポーツ産業生産指数の占める割合でいうと、2014年は0.64%であったが、2022年は1.09%であり、金額にして1兆3092億元(約26.9兆円)となっている。「国民健身計画(2021~2025年)」によると、2025年までにスポーツ産業の規模を5兆元(約102.6兆円)とする予定である。

国・地域別に見たスポーツ用品の輸入額は、アメリカ、EU、日本、イギリスが多く、中でもアメリカが2010年から最大の輸入国となっており、2022年は世界の31%を占めている。

(中国経済新聞)