中国の新興電気自動車(EV)メーカー「小鵬汽車」の何小鵬会長は、7月30日に開催したAIによるスマート運転技術の発表会で、「AIは半導体、大規模言語モデル(LLM)、自動運転、ロボットの4分野を動かす力となり、会社としてこれらの分野に参入する。今年はAIに35億元(約737億円)を投入する予定で、今は計算力2.51のEFLOPS(エクサフロップス)を有している」と述べた。
小鵬汽車は発表会で、「機能を新たに72件追加し、412件を改良したAIの『天璣XOS 5.2.0システム』を今日から中国国内で導入している」と発表した。8月15日にはドイツ、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、フランスなど10か国へも導入していくという。
小鵬汽車によると、「エンドツーエンド(End-to-End)」のLLMを活用することで自動運転システムが2日に1回バージョンアップし、2週間に1回は扱いが改良され、70日間で5回フルに更新するとのことである。
「エンドツーエンド」は英語の「End-to-End(E2E)」で、深層学習における概念のAIモデルで、元データを入力すれば最終結果がアウトプットされるものである。自動運転で利用され、モデルさえあれば監視カメラやミリ波レーダー、レーザーレーダーなどセンサーで集められた情報が、ハンドルの回転角度、アクセルの踏み具合、ブレーキの力といった操作への指示に変換され、自動走行を可能にするものである。
辰韜資本、南京大学上海校友会自動運転支部、「九章智駕」の3者が共同発表した「エンドツーエンド自動運転業界研究報告」によると、取材した30人余りの自動運転の専門家のうち、「所属先の会社がエンドツーエンドの技術開発をしている」という割合が90%であった。技術系企業の大部分は、こうした革命の波に乗り遅れると大変なことになると見ている。
何会長は発表会で、「LLMを使わない自動運転は淘汰される」と述べた。また、今回の発表をする前に、現在の中国自動車界における「つぶし合い」について、「今回アメリカに行って印象深かったのは、アメリカ人はエンドツーエンドの自動運転支援技術をどうすればよりよくできるか、どうすれば人よりうまくできるか、と考えていることだ。テスラは、エンドツーエンドを導入してからFSDがまるで違ったものになった。アメリカは来年、エンドツーエンド搭載の車はベテランの運転手(経験豊富な運転手)を上回ることになる。一方で中国の(自動車)テクノロジー会社はいまだに『週間売上ランキング』にしがみついて金稼ぎに勤しんでいる。これは技術競争としてあるべき姿ではない」との見方を示している。
(中国経済新聞)