BCIの学術会議が初めて上海で開催へ 技術基準の制定目指す中国

2024/07/30 18:30

脳をコンピュータとつないで人間の能力を高め、活動を補助するブレイン・コンピューター・インターフェースについて、25年前に発足した世界的に有力な学術機関のBCI協会(BCI Society)と中国の天橋脳科学研究院(TCCI)は7月24日、今年12月に上海で、アジアでは初めてとなるBCI Meetingを開催すると発表した。

1999年にアメリカのニューヨークで初めて開かれたBCI Meetingは、今やBCI に関する代表的な学術会議となり、去年はベルギーのブリュッセルで、39の国や地域の計237か所の研究所から合わせて500人近い科学者を集めて開催された。BCI協会のMariska Vansteensel会長は、「同業者の交流の場となり、世界的な研究を促すことを趣旨としたものだ」と述べている。

天橋脳科学研究院の立ち上げ人である雒芊芊氏は、「12月の会議はBCI における世界の最新の成果を披露するものになる」と述べている。世界各国の優秀な科学者を招いて技術や研究、臨床など様々な角度からBCIの最新の成果や傾向を検討するという。

BCI は、先進国では脳科学や脳研究における競争分野となっており、中国でもこれからの重要な産業分野になる。中国情報通信研究院の「BCI 技術発展と応用研究報告(2023年)」によると、世界でBCI に取り組む企業の数は2023年3月末の段階で500社以上となり、このうちアメリカと中国がともに100社以上でトップグループを形成、これに20社以上というカナダ、イギリス、イスラエルが続いている。

ただし、新しい技術であるBCIは、プライバシーや倫理といった面の整備が必要で、業界基準の策定が望まれている。中国の工業情報化省は7月1日、技術基準の制定に向けて意見を募集する「BCI 標準化技術委員会準備案」を発表した。早期の基準制定を目指すものである。

また、国際市場リサーチ機関のIMARC Groupeによると、BCIの市場規模は2021年が15億ドル(約2313億円)、2022年が17.4億ドル(約2683億円)で、2027年には33億ドル(約5089億円)に増えると予測している。

(中国経済新聞)