DHL、上海に新エネ車に特化した拠点を設立 中国事業の拡大も表明

2024/07/18 07:30

国際物流会社のDHLは先ごろ、新エネ車およびその関連企業のグローバル化戦略をサポートするための専用施設「新エネ車卓越センター」を上海に開設した。主要国であるインドネシア、メキシコ、UAE、イギリスなどに続き、中国で初めての拠点となり、新エネ車関連製品(電池、モーター、充電インフラなど)の総合的な物流サービスを実施する。

DHLでアジア太平洋地域の最高経営責任者(CEO)を務めるニキ・フランク氏(Niki Frank)は、「2023年、中国の自動車メーカーが世界のEV市場で主導権を握り、生産ベースで世界のシェアの5割を超え、かつ世界最大の自動車輸出国となった。EV用電池メーカーの大手10社のうち6社が中国企業で、セルは中国が世界の約6割分を供給している」と述べた。その上で、今回の新エネ車拠点設立は車と電池を端から端まで運ぶ物流ソリューションとなるものと指摘している。

DHLはまた、中国での取り組みに一段と力を入れる予定である。フランクCEOは「中国は過去も今も今後も特に重要な市場であり、今はアジア太平洋地域で最大の市場である」と述べた。DHLは中国エリア統括事務所を上海に構えている上、中国国内で50以上の都市に支店や事務所を設け、上海にはまた倉庫関連設備を4か所有している。ここ数年間は越境ECへの取り組みも強化しているという。

中国が発生源で急激な成長により世界的な航空貨物需要の伸びをもたらした越境ECについて、航空機開発会社のボーイングの貨物輸送関係者は以前、ともに中国の通販サイトであるSHEINとTEMUの1日の輸送量がそれぞれ3000トン、2500トンと話していた。これら通販サイトの出荷量はピークとなる12月には一段と増え、SHEINは5000トンとなる見込みである。これにTEMU、アリババ、Tiktokも合わせた大手4社の合計出荷量はおよそ10800トンとなり、貨物機777型108機分に相当する。

これにより、あらゆる貨物機を所有しているDHLは一段と事業が拡大することになる。インフラだけでなく人材やIT関連に投資を集める予定で、フランクCEOは「中国で人材投入を削減する競合社もあるが、特に新エネ車、再生可能エネルギー、半導体などわれわれが目を向けている分野や業界で経験のある人材は、一段と増やしていく」と述べている。

フランクCEOはまた、輸送力の世界的なひっ迫や輸送費の高騰を招いている紅海の問題にも触れた上、海上輸送利用の会社が空輸を検討していることで輸送力が一段と厳しい状態になるとも言った。こうした状態は向こう3~4か月間は緩和せず、需要が伸びる中で輸送費も上がり続けると予想している。

(中国経済新聞)