中国の電子商取引(EC)大手の京東集団は、紳士服大手の海瀾集団が江蘇省江陰市に設けている観光総合施設の「飛馬水城」(Fei Ma Shui Cheng)で、中国初となるアウトレット店を設けることになった。両者で共同運営することで合意している。また京東はオンラインで、「アウトレット専門コーナー」と「アウトレット公式フラグシップ店」を同時オープンさせる。事業は今年10月に完成し、国際的な有名ブランド100社近くが店を構える予定である。
江陰市に設けている観光総合施設「飛馬水城」(Fei Ma Shui Cheng)
京東は、オンライン側ではすでに「スーパーアウトレット」とのチャネルがあり、自社および公式フラグシップ店合わせて300以上の銘柄で計70000件以上の商品を扱っている。一般商品の店のほか、高級ブランド品も自社のコーナーでショップを構えている。
品目を見ると、電子機器や家電、スーパーの雑貨類など定番の各品目に比べ、シューズやアパレルなどは長らく積み増しの状態が続き、急成長には至っていない。
京東は現場側での取り組みについて、これまでも定番の各品目を中心に扱い、特に3C家電などは「京東之家」や「京東超体」などを利用してかなり力を入れている。今回のアウトレット店についても、あらゆるチャネルで大きな厚みが加えるものと言える。
アパレル品では、拡販をする上で現場での売り場設置が欠かせない。アウトレットはどこも有名品の割引販売や様々な味わい型のショッピングなどを売り物にしており、IT関連大手が事業を拡幅するにあたり最も参考になるようなモデルとなっている。
ただしこのスタイルは、消費のトレンドにはなっているが、やはり土台となるサプライチェーンがしっかりした企業やアプリに委ねる必要がある。その点、京東も海瀾もそれぞれの分野でサプライチェーンを備えた企業を抱えている。
よって今後、両者が順調にことを運べるかは、アパレルやブランド面で突合せをし、値段や品目、新品発表などでのすり合わせなど、サプライチェーンにおける連携が焦点となる。
このところEコマースで、アウトレット店やディスカウント店、コミュニティーショップなどが続々と現れているが、安値により企業側は利益が削られる上、店舗の拡張、家賃の支出、サプライチェーンの整備、オンライン側との協調運営といった点も配慮しなくてはならない。現場での経営は、低価格路線ということで企業側に商品や仕入れ面などでのコスト制御力がかなり問われる形になる。
(中国経済新聞)