アマゾン、「安売り商品」でTemuやSHEINをブロック 越境ECで新たな戦いが火ぶた

2024/07/1 14:30

通販サイトのアマゾンが最近、低価格商品の市場を狙って「安売りショップ」をオープンさせた。ある販売業者によると、アマゾンは6月26日に深センで、一部の販売業者を招いてこの計画について秘密裏に打ち合わせをした上、その翌日に出席できなかった業者を相手にスタッフが話し合いをしたという。

「安売りショップ」について、浙江省杭州のある業者によると、アマゾンのトップページからアクセスし、「店中店」で20ドル(約3215円)以下の商品を販売する形式であるという。対象商品はノーブランド品(「ブランド品」に相対するもので、中小のメーカーが作った無名の品物、または消費者の認知度が低いものを指すことが多いが、広義では大手メーカー品以外のものを言う)が中心であり、logoは消去する。この業者の話では、この取り組みは春節前に打ち出されて担当チームも設けており、今年からじわじわ浸透させているという。

このような取り組みについて業界内では、中国発のプチプラ通販サイト「Temu」と「SHEIN」の拡大を防ぐためと見られている。アマゾンは「安売り商品」の仕組みを整備中であり、販売業者はFBA倉庫(アマゾンが配達やアフターサービスを受け持つ海外倉庫)への出荷を必要とせず、中国国内にあるアマゾンの中継倉庫に届ければよい。また商品の選定や値決めも自社で行い、アマゾンがそれを履行しプロモーションする。ただその倉庫は現在、未完成である。

ただしアマゾンは現時点で、このような「安売り商品」提供業者へのインセンティブを発表していないので、参入を決めかねている動きもある。現在の情報から見て、この方式は「Temu」の準委託モデルとはだいぶ異なる。「Temu」のやり方は、商品発送は売主が行い、アプリ側がプロモーションや販売を行った上、手数料は取らないものの値段の設定をする。一方でアマゾンの方法は、値段は売主が決めるが手数料やアクセス分などで料金を徴収することになる。

外部のデータによると、20ドル以下(約3215円以下)の商品を売る業者は運営コストをかなり気にしており、輸送費やプロモーションの費用が価格の50%以上を占めることもある。アマゾンが販売者を呼び込めるかは、どのような料金体系を敷くかによる。

このような取り組み実施の情報が伝わったアマゾンは6月26日、「Temu」や「Shein」に対する反撃への期待から、時価が初めて2兆ドル(約321.5兆円)を超えた。Marketplace Pulseによると、「Temu」 は2022年10月、アメリカで、iOSのアプリストアのダウンロードランキングでアマゾンを抜いてトップに立った。また2023年10月の全世界ユーザー数について、アマゾンは前年比4%増であった一方、「Temu」と「SHEIN」の合計は2.6倍に増えている。この2社はまた、アメリカでのユーザー数は合わせて前年比で約1.1億人、割合にして5倍増になっており、アマゾンの9割にまで迫っている。

(中国経済新聞)