中国自動車メーカーの奇瑞(チェリー)、EU の「追加関税21%」に反応

2024/06/20 13:30

中国の自動車大手「奇瑞汽車」(チェリー)の副総裁兼欧洲事業総裁の張建氏は、6月12日にEUが発表した中国製EVへの最高38.1%という追加関税導入に対し、「輸出事業にある程度の影響が生じるが、ヨーロッパ本土での生産分があることでダメージはいくらか緩和される」と述べた。

EUの発表によると、奇瑞に対する追加関税は21%となっている。張氏は、すでにヨーロッパへ進出していることも踏まえて「今年末には買収しているスペインのバルセロナの工場でEV生産を始める見込み」と述べている。

この工場について、これまでの情報では、元々日産自動車の工場であったが2021年末に閉鎖され、職員およそ2500人が失業した。しかし奇瑞が稼働すれば1250人を採用するという。奇瑞は生産計画として、2024年第3四半期に稼働して「欧萌達 (Omoda) 5」などを生産し、年産台数は2027年には5万台、2029年には15万台とする予定という。

張氏はさらに、「バルセロナの工場ではヨーロッパでの中長期計画を十分に満たせず、生産体制や市場シェアのさらなる拡大に向けてヨーロッパにもう1つ工場を設けることを検討中」と説明している。

これまでの報道で、イタリア政府が今、国内生産量の増加に向けてStellantis以外に主要自動車メーカーもう1社を誘致する方向で、工場建設について奇瑞と交渉中とのことである。

中国の自動車メーカーは今、こぞってヨーロッパでの生産を計画中である。BYDは先ごろハンガリーで工場建設を発表しており、上汽集団もヨーロッパで生産拠点を探り、長城汽車も同じくヨーロッパで製造や組み立ての工場の建設を予定している。

(中国経済新聞)