米国がなぜ中国製EV車への関税を引き上げるのか

2024/05/31 17:30

 5月14日、アメリカのバイデン政権は対中301関税の4年期の再審査結果を発表。これまでの対中301関税を基礎に、中国から輸入する電気自動車(EV)、リチウム電池、太陽光パネル、重要鉱物、半導体、鉄鋼・アルミ、港湾クレーン、個人防護装備などの製品に対する関税率をさらに引き上げるとした。

中国製のEV=電気自動車への関税を現在の4倍の100%に

 特に、中国製のEV=電気自動車への関税を現在の4倍の100%にするなどアメリカが投資を強化する戦略的な分野を対象に、中国からの輸入品に対する関税を引き上げる。

 アメリカのバイデン大統領は14日、中国政府の補助を受けて過剰生産された製品が、アメリカの企業や労働者を脅かしているなどとして、不公正な貿易に一方的に制裁措置を発動できる通商法301条にもとづき、中国からの輸入品に対する関税を引き上げるよう通商代表部に指示すると発表しました。

 具体的には「アメリカが歴史的な投資を行っている戦略的な分野を対象にする」として、中国製の電気自動車への関税をことし中に現在の25%から4倍の100%に引き上げます。

また、

 ▽電気自動車用のリチウムイオン電池への関税を7・5%から25%に、

 ▽太陽光発電設備への関税を25%から50%にことし中に引き上げるほか、

 ▽半導体への関税を来年までに25%から50%にするとしています。

 今回の関税引き上げの対象は、中国からの輸入品のうち180億ドル、日本円にして2兆8000億円余り相当になるとしています。

 これについて、中国商務部(商務省)の報道官は14日、米国が通商法301条に基づく対中追加関税(「対中301関税」)の4年期の見直し結果を発表したことについて談話を発表し、断固たる反対と厳正な申し入れを強調した。

中国政府は断固たる反対と厳正な申し入れ

 商務部の報道官は「米国は国内政治上の考えから、301関税の見直し手続を濫用し、一部の中国製品に対する301追加関税をさらに引き上げ、経済・貿易問題を政治化し、道具化した。これは典型的な政治工作であり、中国はこれに強い不満を表明する。世界貿易機関(WTO)は301関税はWTO協定違反であるとの裁定をとうに下している」と指摘。

 また同報道官は、「米国による301関税率引き上げは『中国の発展を抑えつけ、封じ込めることを求めない』『中国とのデカップリングやサプライチェーンの分断を求めない』というバイデン大統領の約束に背くものであり、両国首脳間の共通認識の精神とも一致せず、両国間の協力の雰囲気に深刻な影響を与えることになる。米国は直ちに誤ったやり方を正し、対中追加関税措置を撤回するべきだ。中国は自らの利益を守るために断固たる措置を講じる」とした。

 現在、中国製新エネルギー車の米国市場への輸出台数は決して多くなく、他の海外市場と比較しても、中国の自動車メーカーの北米市場への進出は少ない状況にある。中国の自動車メーカーは米国市場に対し、取り立てて言うほどの「打撃」はない。

 中国税関総署の統計によると、2023年の中国製新エネ車の米国への輸出台数はわずか1万台余りで、輸出全体に占める割合は1%未満だ。「ウォール・ストリート・ジャーナル」の報道によると、従来の25%という関税率ですでに、中国の電気自動車(EV)メーカーに米国市場進出を躊躇させる効果を果たしている。

 東呉証券は最近のリサーチレポートで、バイデン政権が圧力の下で「中国カード」を切った最終的な目的は、「金」ではなく「票」にあると見られると指摘した。

電池や電池部品などの製品の関税も7・5%から25%に引き上げ

 今回の関税引き上げリストには、電気自動車用リチウム電池や電池部品などの製品の関税を7・5%から25%に引き上げることも含まれている。上海交通大学安泰経管学院教授で深セン産業研究院の首席科学者である蒋偉氏によると、関税政策全体から見ると、米国が電池や新エネ車の製造を米国内に移転させ、自動車製造業の米国回帰を促進したいと考えていることが明らかにうかがえるという。

 沃達福デジタル自動車国際協力研究センターの張翔センター長は、「これは米国にとっても損失だ。現在、自動車産業は国際化された開かれたものであり、門を閉ざして製造することは不可能だ。中国製自動車も米国製チップを購入しているように、米国製自動車が中国の動力電池などの部品を購入するのも正常なことだ。互いに協力し合うことで初めて良い製品を作り出し、価格も競争力を持つことができる。米国が実施しようとしている政策は、地元の新エネ車産業や消費者にも負の影響をもたらす」と指摘する。

(中国経済新聞)