最新の統計によると、中国は現在、中古品について1日の取引額が平均10億元(約216億円)を超え、毎日400万点がアプリに出品されており、市場規模は1兆元(21兆円)以上となっている。この中で、去年1年間の中古品取引アプリの新規ユーザーのうち「1995年以降生まれ」の若者層が3000万人に達している。
様々な西洋楽器や民族楽器がずらりと揃うある中古楽器の専門店は、開店からわずか1年余りで、以前は数台しかなかったピアノが70~80台まで増えた。取り扱い上の都合から防塵の修理室も備えており、忙しい時にはサックスを1日に7、8台修理している。
また、上海のリサイクル市場も同じような賑わいである。30余りの出店に時季外れの衣類や中古の小型家電、流行の玩具、手造りの工芸品などがそろい、多くの若者たちが足を運んでいる。リニューアルしたり、古いものをおしゃれでモダンなものに変えたりしている店もある。団地内では中古品のスーパーマーケットも設けられるようになった。
上海市静安区江寧路街道でリサイクル市場の代表者である蒋抒潔さんは、「洗練された若い男女が随分とやって来る。コスパだけでなく、自分だけの価値観を求めている」と述べている。
若者たちは「節約志向」である上に、しばしば秘められたビジネスチャンスを見出す。「2000年代生まれ」のジオラマ風景デザイナーである季風さんもその1人である。愛車がそろそろ廃棄の時期となっているあるクルマ好きな人が、車から外したメーターパネルを季さんに渡し、透かし彫りにしてほしいと言った。自分をミニチュアにして中にはめ込むのがいいと言うのである。
季さんは商売を始めて3年で、中古品アプリで2000点以上の品を売り、取引額は30万元(約649万円)以上となっている。また、値打ちがあり専門性の高い品が増えるにつれ、品質チェックやランク付け、値決めなどの付帯業種も発生している。
天津市には、中古品を媒体としたセカンド品の流通Eコマースの産業パークがあり、イベント実施の都度、「タオバオ」や「落穂拾い」を求める人で溢れかえる。産業パークの代表を務める陳文竜さんによると、中古品取引の利用層について、今は18~35歳の割合が74%に達し、業界景気を支える主力となっているという。「最近は若者たちの間で、『中古品文化』まで生まれており、一段と活気をもたらしている」とのことである。
陳さんは、「産業パークはこれまでに213社が営業登録しており、2023年は売上高が約4.2億元(約91億円)、納税額は1200万元(約2.60億円)余り」と話す。中古品市場は依然急速な伸びを示し、若者の購買力が絶えず掘り起こされているという。
若者の消費の変化が、「中古品経済」を活気づけている。清華大学エネルギー環境経済研究所などが発表した「2021中国中古品取引炭素排出削減報告」によると、取引対象となる中古品はほぼ全種類に及んでおり、取引規模は2020年に1兆元(21兆円)を超え、2025年には3兆元(約65兆円)を超えると予想している。