中国越境EC、参入条件が緩和 浙江省義烏で事業者が急増

2024/05/21 07:30

中国はこのところ越境EC のインフラや収益構造の整備が進み、参入条件が大きく緩和されたことで、従来の貿易商が事業転換への好機を得ている。特に浙江省義烏では、この流れに乗る動きが強まり、「Alibaba.com」によると今年4月以降の新規参入社数は前年比77.5%増で、越境ECが急速に伸びている様子がわかる。

義烏で「朵芙仿真花」を立ち上げて10年近く国内取引を手掛け、今は越境EC で海外市場の開拓をしている陳金宝さんは、「Eコマースはオーダーが断片化している今の流れに適している」と見ている。陳さんは英語もできず海外経験もないが、AIや越境ECを通じて海外進出を果たし、2021年から始めた欧米への輸出事業はすでに売上高2000万元(約4.3億円)を超え、今年はおよそ30%の増加であった。

同じく義烏にある商社「燦源進出口」の総経理である馮俊峰氏は、2017年に代理店事業から越境ECへの転換を決め、ビッグデータの分析を通じて欧米に狙いを定め、エコ関連製品に特化して輸出を始めた。現在は事業の8割が越境ECで進められ、売上高も4000万元(約9億円)以上に増えた。馮氏は、「越境EC は従来のやり方と違い、入金してから出荷するので取りこぼしが少なく、『小単快反』(様々な種類の製品を小量生産して市場をテストした上で、最終データを見て、「売れ筋品」は速やかに再注文する。利益が伸びる上に在庫過多が抑えられる)との形で利益が伸ばせる」と述べている。

これらの新規参入者は、越境ECやAIの普及で恩恵を受けているだけでなく、中国のサプライチェーンや製品のグローバル化を後押しする存在でもある。馮氏は自前の建屋や投資の継続により産業チェーンを原材料側まで引き延ばした上、マーケティングやブランド造りも強化し、中国製品を世界へ押し広げている。また陳氏は購買とサプライチェーンの統合を進めて一段と競争力をつけている。

5月16日に行われた2024浙江省企業総会では、「企業の海外進出支援計画」が打ち出され、義烏も含めた多くの省内各企業に対し、デジタル貿易のさらなる開拓をサポートすべく、確かなビジネス保障、取引インセンティブ、人手の手配といったサービス体系を提供する方針が打ち出された。

越境EC の成長について、中国政府も重視している。4月中旬に行われた国務院新聞弁公室の記者会見で、中国税関総署の広報担当である呂大良統計分析局長は、「越境ECはIT技術の進歩を受け、オンライン取引、非接触型納品、輸送ラインの短縮などを果たした。各国の消費者や生産者が『世界を買い、世界を売る』ようになって、グローバル貿易を後押しする『新勢力』になっている」と述べている。

(中国経済新聞)