豪カンタス航空、中国便の運航を停止

2024/05/18 08:30

オーストラリアのカンタス航空(Qantas)は、7月28日からシドニーと上海を結ぶ路線を運休し、中国とを結ぶ便は香港発着便のみを残すと発表した。運航再開からわずか9か月での運休であり、輸送力不足や上海発の便の客足が弱いことを理由としている。

Qantasの最高経営責任者であるCam Wallace氏は、「新型コロナウイルス以降で中国との移動需要が予想ほど回復してはいないが、引き続き市場の変化を注視し、回復したら運航を再開する」と述べた。余剰機材は10月28日に開通するブリスベンーマニラ便と、シドニーおよびブリスベンとシンガポールを結ぶ便の増便分に利用するという。

方、中国の航空会社はこれとは対照的に、オーストラリア発着便の再開を加速させている。フライトマスターによると、今年4月の中国ーオーストラリア便について、Qantasによる運行本数は44本で全体の4.5%にとどまり、残りはすべて中国の航空会社で、会社別には東方航空、南方航空、アモイ航空の上位3社で70.2%を占めている。

航空業界に詳しい林智傑氏は、「中国ーオーストラリア便について、コロナ前は中国の航空会社の本数が圧倒的に多く全体の95%を占めており、コロナの後で大型機の投入を進めたことでその差が一段と拡大した。このような状況は中国ーヨーロッパ便、中国ーアメリカ便でもほぼ同様である」と指摘し。

中国ーヨーロッパ便について、中国の航空会社の運航再開率はすでに100%を超えているが、外国勢は50%前後に止まっている。利用者数のうち中国航空会社の割合は、コロナ前は52.7%であったが今は70.1%である。これについてはウクライナ問題の影響を受けており、ヨーロッパの航空会社はロシアの領空を迂回する必要があるので飛行時間や燃料費もかさむが、中国の航空会社はこのような制限がなく、余分な費用がかからない。

中国ーアメリカ便については、アメリカ運輸省が今年3月31日から中国の会社に対して直行便を週に50本まで運行させることを認めた一方、アメリカの航空会社はパイロットや管制員が不足しているほか、またロシア迂回による費用増の問題があり、運行本数が認可分に達していない。業界関係者によると、アメリカの航空会社は利益の高いヨーロッパ便に力を入れる傾向にあるという。

航空データアナリストである李瀚明氏によると、ロシアの迂回は中国の華東や華南からアメリカ西部を結ぶ路線への影響は小ないが、華北とアメリカを結ぶ線は飛行時間や費用がかなり余分にかかるという。

(中国経済新聞)