中国若者、ザリガニを離れた

2024/05/9 13:00

毎年5月から8月は、中国のザリガニのシーズンだ。10数年ほど前から、大皿に盛られた真っ赤なザリガニの殻を手でむいて食べる姿が「夏の風物詩」となって、社交の場に最適なブームとなっていた。

しかし、最近数年、とくにZ世代の若者の間で、ザリガニを敬遠する人が急速に増えている。Eコマースサイトの販売が急激に落ち込んでいる、その減少幅は60%以上だった。

なぜ若者がザリガニを離れたでしょうか?

外的要因と内的要因が重なったためとするのが大方の意見となっている。外的要因としては、新型コロナウイルス感染拡大によって人々が集まる機会がめっきり減ったことで、もともと「社交の場」に欠かせなかったザリガニに対するニーズが弱まったことが挙げられる。ある消費者は、「これまでザリガニを食べていたのは、食べる楽しみ自体よりも、仲間たちと集まってお酒を飲みながらワイワイお喋りするためだった。でも、集まる機会が減った今では、ザリガニを食べることも自然に少なくなった」としている。

内的要因としては、主に、ザリガニの値段がますます高騰し続けていることが挙げられる。ある消費者は、「あるレストランでは、ザリガニ500グラムあたり約100元(約2千円)の価格がついている。100元出すなら、もっとおいしくて、栄養価も高いエビを食べる」としている。

そもそも、ザリガニの消費が急速に高まったのは2014~2015年頃からだ。もともとは外来種であり、中国にザリガニを食べる文化はなかったが、2010年頃からレストランのメニューに加えられることが増え、じわじわと人気が出始めた。養殖や加工などに携わる業者も増加し、2016年のザリガニ市場は約1466億元(約3兆円)だったが、2021年には約4221億元(約8兆円)にまで膨らんだ。しかし、前述の理由で、早くも「ザリガニ料理に飽きた」という若者が増え始めている。