4月18日、中国で最も歴史の長い自動車メーカー「中国一汽」は、第5回テクノロジー大会で、インテリジェントカー開発会社である「億咖通」(ECARX)、および民生用ドローン大手の大疆創新科技(DJI)の子会社である大疆車載(DJIオートモーティブ)とともに、スマートシートやスマート運転の開発を一段と進めることで合意したと発表した。
これによると、億咖通(ECARX)と中国一汽は自動車の「紅旗」(ホンチー)のスマートシートやオペレーションシステム(紅旗OS)を共同開発するほか、「紅旗」のブランドで高級スマートフォンも開発するという。億咖通は吉利ホールディングスの李書福(Li Shufu)社長と、億咖通の現CEOである瀋子瑜(Pan Ziyu)氏が2017年に設立した会社で、発足当初は吉利の各シリーズ車種にエンタメ装置を供与していた。億咖通はその後、自動車へのスマート設備導入が進んだことで、デジタルシート、自動車用半導体、OSなどに事業範囲を拡大していった。また瀋氏は、持ち株会社である「星紀魅族」を通じて携帯電話やウェアラブルも手掛け始め、2023年からは極星汽車(Polestar)と提携して自動車の販売やサービスも実施している。
一方、中国一汽はスマート運転技術について大疆車載を提携先に選び、「紅旗」の開発にあたって、ハイレベルな自動運転システムやドアツードアのモビリティーソリューション、高機能センサーの利用を模索している。大疆車載は2016年からスマート運転を手掛けており、2022年には初めての本格生産に乗り出した。さらに2023年3月には新たに2つのスペックを打ち出し、正確な地図やレーザーレーダーに頼らない低コストで効率のいい都市型カーナビ機能を提供している。
なお、ファーウェイのスマートカーソリューションBUの会長である余承東氏は以前、BUの発足直後に中国一汽をパートナーに誘っていたが、今回のテクノロジー大会で中国一汽は、ファーウェイではなく、事業モデルがファーウェイのBUとよく似ている億咖通との提携を選んだ。
中国一汽は今回の億咖通や大疆車載との提携により、スマートカーについて新たな一歩を踏み出す。技術革新によりマーケットニーズを満たし、スマートカーの競争で優位に立つことを狙いとするものであり、億咖通も規模の拡大を通じて効率アップが果たされる上、国内外で事業範囲が一段と広がっていく。
(中国経済新聞)