上海市梅龍鎮の伊勢丹が営業終了を発表

2024/04/2 15:30

3月25日、大手デパートの伊勢丹が、上海の梅龍鎮の店舗を6月30日に営業終了すると発表した。社員によると「賃貸借契約の満了」とのことであるが、今年の期間満了と同時に閉店することは去年の段階でほぼ確定していた。事業の受け継ぎ先は未定である。

公開情報によると、1997年、南京西路に「梅龍鎮広場」と呼ばれる伊勢丹の建物が誕生して周囲も一気に華やかになり、建物も欧風デザインをふんだんに取り入れたエレガントな造りであった。建物の中は7階まで通じる吹き抜けがあり、きらびやかなムードが地元の人を魅了し、うっとりするような「ショッピング天国」となった。

地元の静安では、梅龍鎮広場は中信泰富、恒隆広場、上海商城などともに長らく「最強の地平線」となり、中でも「梅泰恒トライアングル」はとりわけにぎやかで、位置的にも上海の一等地となった。

伊勢丹はこの梅龍鎮広場の主要テナントであり、南京西路の「最高の商業街」を築いた立役者の一つで、地元では20年以上親しまれた。日系デパートとして早期に上海に立地したことで、地元で最新のトレンドを象徴する存在となり、「Isetan」と印字された紙袋は手に持つと颯爽と見え、繰り返し使う人も多かった。

時は過ぎゆき、梅龍鎮広場も徐々に光を失っていった。「梅泰恒トライアングル」でも一番の存在だったが、業績は恒隆広場に遅れをとり、中信泰富のようにリニューアル後にブームを招くようなこともなく、次第に「不人気売り場」となっていった。さらに、上海ではこのところ高級デパートやショッピングセンターが相次ぎオープンして目移りするほどになり、老舗のデパートが競争力を失っている。

ネットでは「上海人の思い出が時代の涙に変わった」と惜しむ声が多い。伊勢丹で「人生最初の買い物」をした人も多く、青春の思い出ともいえる。ただし、レビューサイトの大衆点評やSNSでは、「がらがら」「静か」「長らく行ってない」「昔の栄光は戻らない」とのコメントが並んでいる。地元の人は、「今のうちにまた行って『最後の一品』を買う」という記念のショッピングで思い出に残そうとしているようである。

伊勢丹は、中国1号店だった上海華亭が2008年に閉店しており、2013年には遼寧省の瀋陽店も閉店し、さらに2022年には四川省成都の2店舗も営業停止している。また天津でも、浜海店が2024年3月11日に、南京路店が4月14日に営業終了と去年末に発表されている。今回の上海梅竜鎮店の閉店で、中国に残るは天津の仁恒店のみとなる。

(中国経済新聞)