中国政府、不動産市場の救済に乗り出す

2024/02/27 08:30

中国の不動産市場は不振を極め、物件の売れ残りが急増している。不動産の専門家によると、現存する分と建設中の分を売りさばくのに5年あるいは10年かかるとのことであり、売値や中国経済の見通しにも影響してくるほか、建築材料の国際価格もかなりの打撃を被ることになりそうである。

中国の二線都市(県庁所在地)の物件価格は、コロナ禍前の2019年と比べてほぼ20-30%値下がりしている。

経済的に豊かである江蘇省無錫市は、以前は平米あたり5万元だった物件価格が今は4万元に下がっている。上海で取材に応じた人によると、所有する市内中心部の徐家匯のマンションを仲介業者で公示して1年が経過し、20%も値下がりしたが買い手がないという。

学者の中には、「中国の不動産はすでに崩壊しており、日本のバブル崩壊のように、土地や物件が50%値下がりするだろう」との見方もある。

また、値下がりだけでなく、「造りすぎ」といった問題も抱える。中国の売れ残り物件は2023年末の時点で合計50億平方メートル近くに達しており、100平方メートルに3人家族が住むと仮定すれば、1.5億人または5000万世帯が入居できることになる。

売れ残りがあまりに多いことから、デベロッパーや家主がこぞって値引きに走っているが、販売数量は落ち込む一方である。

2月14日に発表された上海鏈家研究院のレポートによると、今年1月、上海市全体の新築物件の成約件数は3786件で2023年1月より55%減、成約金額は同じく58%減の290億元であった。

不動産業界に対するレバレッジ解消や債務リスクの削減といった策が講じられた2020年以降、新規建設ブームが収まり始め、2023年の住宅販売面積は、ピークだった2021年の15.6億平方メートルから40%ほど減って9.4億平方メートルとなっている。

2020年は、30歳代で住宅を買える余力がある人口は2.2億人だったが、2035年には1.6億人以下に減ると見られる。都市部の新築物件の着工率は、2035年までは年間3%ずつ減っていくという。

こうした長期にわたる不動産の低迷で、国際市場で建筑材料が不安定な存在になる。新規建設が減ると建材が生産過剰となり、国内企業がやむなく大量の資材を海外に輸出することになって、国際価格に打撃が生じる。

中国鉄鋼工業協会によると、2023年1~9月、上場鉄鋼会社45社のうち80%が赤字または利益減となった。鉄鋼の輸出数量は去年、前年より2000万トンあまり増えて9000万トンに達し、生産過剰の影響がある程度回避されたが、一方で鉄鋼の国際価格が下落する懸念感も増大している。

国際通貨基金(IMF)の報告によると、中国は新築物件に対する需要が今後10年間で50%ダウンする見込みである。不動産衰退が予想以上に長引いていることから、IMFは需要を改めて下方修正したのである。

Yahooファイナンスによると、中国は人口が減って都市整備も遅れがちになったことで、需要が落ち込んで新築物件がさばけなくなり、売れ残りの急増や空き家率の上昇、さらには未完成での建設中断といった事象も増え続けている。

思睿集団(GROW Investment Group)のチーフエコノミストである洪灝氏は、アメリカのビジネスニュース局CNBCのインタビューで、「中国の不動産市場は今、長期的な修正をしている。また今の過剰物件を売りさばくには10年以上かかるのではないか」と話している。

洪氏は、「売れ残り具合を見ると、今の販売ペースでいくならすべてさばくのに2年は必要だ。ただし、建設中の物件が今は600万平方メートル分あって、このペースなら全量を売るのに10年以上はかかるのではないか。つまりまとめて言うと、市場の修正は長期間続ける必要がある」と述べている。

洪氏はまた、「中国不動産業界は黄金期が過ぎ去り、これからは規模が縮小していく。5-10年経てば会社の数は7万社ほどに減り、15-20年経てば1万社余りになる見込み」とも述べている。

中国では、不動産は経済界全体で重要な地位にあり、GDPの20%、固定資産投資額の25%前後を占める。また地方政府の歳入のうち土地の売却額がかなりの割合を占め、北京や上海など主要都市ではおよそ30%、全国平均でも20%前後となっている。

国家統計局によると、2023年は土地の売却による収入が30%以上も減り、このため地方政府の歳入が軒並み悪化して、公務員への給与支給遅延などといった事態まで発生している。

2023年は債務問題が多発し、不動産大手が続々とデフォルト=債務不履行に陥り、物件の販売も価格も大幅減となり、建設中断や値下がりで数多くの家主が生活困難に陥った。政府も市場緩和に向けて様々な策を打ち出してはいるが、効果ははかばかしくない。

こうした中、中国政府は1月26日に「ホワイトリスト」計画を発表した。不動産政策の大きな方針転換であり、これまでの「自生・自滅」といった傍観状態から、救いの手を差し伸べる立場へと変わるものだ。これはつまり、不動産の債務問題の度合いや中国経済全体に及ぼす影響が当局側の当初の見積もりを上回り、手をこまぬけない事態であることを意味する。

「ホワイトリスト」に登録されるには、建設工事が進行中であること、貸付額に相当する抵当が存在すること、事業の前受金に手を付けていないこと、デベロッパーが貸付金の利用や工事完了計画を制定していることなど、いくつかの重要な条件を満たす必要がある。

関係者によると、これらの条件は銀行の貸付を安全で確かなものにすることが狙いという。いい事業なら貸付も安全なものになる。また「ホワイトリスト」の対象は企業でなく事業であって、当局側は企業の救済ではなく物件の引き渡し確保に目を向けているわけであり、ダメな企業はやはり倒産するのである。

中国は今、ひとまず数十か所の都市で「ホワイトリスト」の対象事業が発表された。少ないところでは数十件、多いところでは100件以上である。公式発表によると、1月末現在、26の省・市・自地区で計170の都市が不動産融資制度を設け、「ホワイトリスト」第一弾を発表した。事業数は合計3218件で、貸付額は少なくとも3兆元以上という。

このような救済策で不動産市場の滑落にブレーキがかかるか、何とも予測がつかない。

(中国経済新聞)