アメリカ、中国製「スマートカー」の輸入やAI データの流通を規制か

2024/02/16 17:00

アメリカが現在、中国製の「スマートカー」(smart cars)およびその部品の輸入制限を検討しているという。中国メーカーがメキシコなど第三国を経由してアメリカに自動車や部品を持ち込むのを防ぐため、対象を中国原産の電気自動車(EV)や部品に拡大する。

この主な理由は、自動運転やコネクテッドカーなど、いわゆる「スマートカー」が収集する膨大なデータをアメリカ政府関係者が懸念し、バイデン政権に法的措置を講じるよう求めたためという。

ブルームバーグによれば、バイデン大統領(Joe Biden)は早ければ今週にも司法省や国土安全省に対し、「関係国」が入手することでアメリカの安全を脅かす可能性のあるデータの取引について制限を加えるよう指示する行政命令を下すという。中国などがアメリカの個人データを取得してAIに学習をさせるのを防ぐことが狙いである。

これら2つの措置が実施されると、中国の極めて重要で最新のハイテク分野に対し規制を講じることになる。

バイデン大統領は2022年8月9日に、チップの製造をアメリカ本土に「回帰」させるべく、総額2800億ドルに及ぶ「CHIPSおよび科学(CHIPSプラス)法案」に署名した。産業界への527億ドルもの資金援助や競争の抑制も盛り込んだものであり、補助金を得たアメリカおよび同盟国の企業は10年間、中国および懸念対象国で先端チップ工場の新規建設や拡張が禁止となる。

さらに、アメリカ商務省産業安全保障局(BIS)が2022年10月と2023年10月、相次ぎ先端半導体やコンピューターの中国への輸出規制を発表し、2023年12月には旧世代のプロセス技術で製造されるレガシー半導体の調達状況について調査を始めると発表した。中国の半導体業界を対象としたものである。

2024年に入ると、アメリカの対中輸出規制はAIクラウドコンピューティングや、AIスマートカー、データ流通などにシフトしている。

BISは今年1月末、IaaS(クラウドサービス)メーカーに対し、役務実施の際に中国など外国メーカーからのIaaS製品のアクセスを制限するため、外国のユーザーには本人確認をさせるとのアメリカ政府の意見書を発表した。サイバーセキュリティーや利益を守るためであり、レモンド商務長官は「中国によるAI能力の付与を全力で阻止する」と強調している。

今回対象となる「スマートカー」は、AI や自動運転レベル2以上を備えたものであり、EVやコネクテッド機能を持つ自動/アシスト運転車である。ブルームバーグによると、アメリカ政府はスマートカーが収集する膨大なデータを特に懸念しているという。ガソリン車、EVを問わず、これらのデータがインターネットに接続するとアメリカの自動車がハッキングの対象になる恐れがあるとのことである。

(中国経済新聞)