中国の新興EVメーカー「蔚来汽車」(NIO)で、5.5年間勤務していた40歳前の社員がリストラを逃れようと自社の車を買ったにもかかわらず解雇された、との情報が流れた。
この社員によると、ほぼ80%の社員が「ポジションを守りたいなら自社の車を買うこと」と何らかの形で指示されていたという。去年の末に再三考えた上、年齢的にも失業を避けようと考え、2年前に買ったばかりのベンツ「CLA」を蔚来の「ET5」に30万元(約622万円)のローンで買い替え、2年にわたり別途月々3000元(約62174円)を支払うことになった。その後、会社の上司から「昇進したいなら知り合いや親戚なども集めて買うべきだろう」などと言われ、いとこ2人にそれぞれ同じく蔚来の「ES7」と「ES6」を買ってもらった。
蔚来は今年の初め、社員向けに「頭金ゼロ・無利息で電池交換は無制限」という購入プランを用意した。この社員は昇進を狙って、30万元(約622万円)のローン(3年間で毎月の返済額8150元=約16.9万円)で「ET5」を買ったのである。
さらにこの社員は、「問題の車を2台買って每月1万元以上(約20万円多)のローン返済。なのに今、いわれもなく急に首にするなんて、良心もないのか。自分だけじゃない。会社からねちねちと車を買えなどと指示されて、手に入れたけれど1年も経たずに首になる社員がいっぱいいる。これじゃ魯迅の言う『人血饅頭』だ!」と訴えている。
蔚来はこの件について、まだコメントを発表していない。
この前の11月3日、蔚来の創業者である李斌氏は、「組織の改善と2年間の優先事項」というタイトルで、「ポジションを10%ほど削減する。リストラは11月に完了予定」とのメールを全社員に送っていた。
蔚来の決算を見ると、2022年末時点で社員数は2.68万人であり、リストラの対象人数はおよそ2600人となる。メールが発表されてから、解雇された元社員のコメントがSNSで相次ぎ発表されている。「N+3倍分の補償金をもらった。何の前触れもなく首になった」あるいは「このリストラは業績でなく、上司の一言で決まる」とのコメントが出ている。
またネットでは、会社から車の購入を求められたとのコメントも多かった。中には「n+3は事実で、つまり車を買えということ。暗黙の了解であるのも事実だ。今年前半に少なくとも4、5回はそれとなく上司に言われたが、私は車に乗らないので買わなかった。管理職などに対しては、人事部門も直接電話するし、上司も個別に聞いてくる」とのコメントもあった。
(中国経済新聞)