中国の呉江浩駐日大使、沖縄県那覇市で講演

2023/10/8 16:30

中国の呉江浩駐日大使は9月6日、沖縄県那覇市で開かれた一般社団法人日本沖縄華僑華人総会の主催による「日中平和友好条約締結45周年記念式典」で講演を行った。

講演の中で、呉大使は「今年は中日平和友好条約締結45周年にあたります。45年前に平和な関係を発展させることを双方の共通の目標・義務として定めました。45年後の今日、我々が直面している中日関係の現実は複雑で厳しい局面にあります。そんな中で、双方が条約の初心に立ち返り、平和・友好・協力という正しい方向性を共に把握することが一層求められています。先ずは共に平和を守りましょう。中華民族は平和を愛する民族であり、あくまで平和的発展の道を堅持し、侵略と膨張をせず如何なる戦争も引き起こしたことがありません。中国の発展は如何なる国にとっても脅威とはなりません。沖縄は戦禍によって甚大な被害を受けました。だからこそ、平和の尊さを心に刻み沖縄が二度と戦場にならないよう心から願っています。しかし、平和の島を実現したい地元の民意を顧みず中国の脅威と宣伝して中国の内政に干渉する、いわゆる台湾有事という命題を意図的に作り出す人たちが常にいます。そして軍事配備を加速させ、この地を反中活動の最前線にし、住民を危険に晒そうとする勢力もいます。我々としては戦争反対と平和を求める住民の立場を支持し、平和を愛する全ての力とともにこの地域の平和を脅かそうとする如何なる勢力にも断固反対します。また、コロナ禍によるコミュニケーション不足もあって、両国民の誤解が深まり、好感度が冷え込んでいるのも事実です。だからこそ両国は急ピッチで民間交流を再開し相互理解を深める必要があります」と述べた。そして、未来の日中関係を担う青少年間の交流を強化するため、中国大使館と総領事館の共同で沖縄の大学生5名の中国留学を支援することが発表された。

講演後の質疑応答では、日本の海産物に対する中国の輸入規制についての質問に対して、「中国の税関当局の発表では、いつまでも輸入を停止するとは言っていません。暫定的に停止すると言っているのに、日本のマスコミは一社も暫停という言葉を使っていません。いかにも中国が100%理不尽に日本に対して輸入規制をしたような報道となっています。私も日本のマスコミに多くの友人がいて何人かの方に電話をし、暫定的であることを日本の国民に知らせてほしいと伝えました。この地球に住んでいる全ての人が納得できる観測システムを作り、疑念がクリアされれば暫定的な措置なので回復されます。私たちとしては一日も早くこの問題を解決し、中日間の全面的な交流を促進していきたいと思っています」と述べた。

弊社アジア通信社記者の、日中関係において一番期待されていることはという質問に対して、「一番必要な事は、等身大の相手を見て知り、相手の事を理解することだと思っています。マスコミ等々の情報だけではなく、実際に相手の国へ行って、相手と同じ気持ちになって相手の事を理解する。もちろん意見の違いはあります。時には論争になることもあるかもしれません。昨日(10月5日)、沖縄県議会の赤嶺議長と意見の交換をしました。しかし、両国民の将来を考えるまでには話が進みませんでした。できるだけ今出来ることに集中し、中でも市民間の交流を増やしていきたいと思っています。また日本の一部マスコミによって、中国の団体旅行解禁に関して、中国経済が厳しいから開放しなければならなかったという報道がなされています。ただ少し考えればロジック的に問題だとわかるはずです。中国の経済が本当に厳しいのならば、多くの中国人団体客に銀座、渋谷、新宿、池袋などで大きな買い物をしてもらうより、北京や上海、広州など中国国内で消費をしてもらおうと考えるのが普通です。そういうことが考えらえるようになるには両国民の交流が一番大事だと思います」と述べた。

(取材 各務詩乃)