3年間閉ざされていた中国が突如、全面的に開放すると発表した。
ほとんど何の準備もないままに政府からコロナ対策緩和の「二十条」が発表されたのち、専門家から「オミクロンは普通のインフルエンザと同じで怖くはない。数日で自然に良くなる」との言葉が相次ぎ発せられた。
しかし、「解放された」とは誰も思わず、得体の知れない怖さが沸き起こっている。
街を行く人の数もロックダウン中よりさらに少なく、来客がないので閉店してしまう店まである。
陽性者が自由に動けるようになったので、スーパーの客はみな医療用のN95マスクをしている。
北京市民は気温マイナス5度、寒風が吹きすさぶ中、どの病院も行列ができている。医師の手から解熱剤を手にするのに3~4時間も並ばなければならない。
また、院内感染により医師が出勤できず、休業に追い込まれる病院も後を絶たない。
さらに、宅配便の配達者がみな陽性になったので、配送所に山のようにたまった物が届けられず、不満の声も漏れる。
極めつけは、薬局で風邪薬が全く手に入らないのである。
北京市1日数十万人が感染。
このような「生きるか死ぬか」という試練を前に、「院内感染しても責任が追及されなければ、政策や人的な介入が減って、病院もコロナに集中対応できる手間が出てくる」とやや前向きな見方をする医師もいる。
悲観論にしても楽観論にしても、大都市の巨大病院から県部の辺鄙な病院まで、「戦前」あるいは「戦時」といったものものしい雰囲気や重圧がすべての医療関係者にのしかかる。
中国の医療体系は今、コロナという巨大な衝撃波を受け止め、階層やレベルに仕分けして患者を受け入れるように改め、重圧を解いて感染を安定化するという「軟着陸」を目指している。ただそれは難しいだろう。なにしろこの3年間、都市を封鎖し市民すべてを足止めするという強硬策でのコロナ封じ込めを進めた中国には、日本や欧米のように正常な社会生活を送りながらコロナを抑えるという経験がまるでないのだ。
中国最大の検索エンジン「バイドゥ」は、今回のコロナ拡大について、AIを活用して地域別にピークと終息の時期をはじき出した。北京市は12月15日がピークで2023年1月15日に終息(たった半月で終息するとはとても思えないが)、上海市は1月6日がピークで2月23日に終息、江蘇省蘇州市は1月20日がピークで2月28日に終息、深セン市は1月1日がピークで2月10日に終息としている。
中国では、新型コロナウイルスはほとんどの人にとって始まったばかりなのだ。ネットでは、「みんなとっくに答案用紙を提出、でも中国人は今貰ったばかり」とのコメントも出ている。
1月22日から始まる中国の大型連休の春節、それはかなりつらいものになるだろう。
(中国経済新聞)