国有企業である中堅自動車メーカーの「江淮汽車」(JAC)は12月22日、かねてからのパートナーである蔚来汽車(安徽)有限公司(以下「安徽蔚来」)と新エネ車の共同製造をするため、安徽蔚来が建設している設備の据え付け工事に関する資産(設備や作業服など)を買収すると発表した。取引額は17.04億元(約323億円)と見られる。
蔚来汽車(NIO)と江淮汽車は2016年4月、江淮の工場で5万台を製造する「製造提携基本契約」を結んでいる。江淮蔚来の工場はのちに蔚来の受託工場となり、2021年3月には蔚来控股と江淮汽車が連携強化策として50%ずつを出資して江来先進製造技術(安徽)有限公司(以下「江来製造」)を発足させた。そして蔚来は2021年5月、蔚来汽車の製造およびその費用の手配について江淮汽車、江来製造と合意し、製造契約を結んだと発表した。江淮汽車は2021年5月から2024年5月まで、ES8、ES6、EC6、ET7その他蔚来のものとなり得る車種の生産を続け、年間生産能力を24万台に拡大するとしている。
蔚来の販売台数は、2020年は4.37万台であったが、この契約を結んでから上昇傾向にあり、2021年は9.1万台、今年は11月までに10万台を超え、同時に知名度も高まっている。ただその一方で、江淮汽車の業績はあまり芳しくない。
江淮汽車の今年1月~9月の決算を見ると、売上高は前年同期比10.36%減の275.44億元(約5226億円)で、親会社帰属の収益は7.84億元(約148.8億円)の赤字である。これについて江淮は、コロナやチップの不足で販売が減ったほか、チップや電池など原材料の値上がりでコストが増大し、主な事業で粗利が減ったことを理由に挙げている。
このような状態に置かれた江淮汽車にとって、蔚来との提携は一段と重みを増してくる。蔚来の販売が増えるにつれて、受託元である江淮汽車にも利益がもたらされるだろう。
(中国経済新聞)