2025年中国大学入試「高考」、受験者数が連続増加から初の減少へ

2025/06/7 17:09

6月7日、中国全国で大学入試(通称「高考」)が一斉に始まった。2025年の高考の受験申込者数は1,335万人。前年の1,342万人から7万人減少し、これは過去7年間続いていた明確な増加傾向に歯止めがかかった初のケースとなった。

過去20年の推移を見ると、中国の高考受験者数は2008年に1,050万人とピークに達した後、5年連続で減少し、2013年には912万人まで落ち込んだ。その後は徐々に回復し、2018年からは顕著な増加が見られた。特に2022年と2023年には、それぞれ前年から115万人、98万人の大幅増となり、2024年には過去最高の1,342万人を記録した。

このため、専門家の間では、今後も出生人口をもとに高考受験者数はしばらく増え続け、2034年にピークを迎え、その後2036年頃に急減すると予測されていた。しかし、今回の2025年の数字は、その予測に変化の兆しを示している可能性がある。

21世紀教育研究院の院長・熊丙奇(ゆう・へいき)氏は今回の傾向について、「受験者数のわずかな減少は、大学進学希望者数の減少を意味するものではなく、高考そのものの競争の緩和を示すものでもない」と述べている。

彼の分析によると、減少の主な理由は「職業教育の発展」にある。具体的には、高等職業教育(高職)への一貫教育プログラムの導入や、五年一貫制(中等教育から高等職業教育までを一体化した制度)の実施により、一定数の学生が「高考」という一般大学入試を経ずに進学できるようになっている。

この「分流」により、表面的には高考の受験者数が減少したように見えるが、実際には中国の高等教育進学率は引き続き上昇傾向にあり、大学入学者数そのものはむしろ増えているという。

中国政府はここ数年、職業教育の強化を国家戦略の一環として推進しており、学歴主義一辺倒の社会構造からの脱却を模索している。職業教育を「第二のルート」として整備することで、学生一人ひとりの適性に応じた進路選択が可能となりつつある。

熊氏は「今後も各地で職業教育の長期一貫制度が広がれば、高考に頼らない進学の道が増えていく。それに伴い、高考受験者数はさらに減少する可能性があるが、それは教育制度の後退ではなく、多様性と選択肢が広がった結果だ」と強調する。

今回の統計は、単なる受験者数の増減にとどまらず、中国の教育制度の質的転換の兆しを映し出している。高考という「一本の道」から、職業教育や専門学校といった「複数の道」へと進路が多様化し、教育の柔軟性が高まっている。

(中国経済新聞)