中国光大銀行、2300億円の不良債権を120億円で一括売却へ

2025/06/6 15:56

中国光大銀行は、総額115億元(約2300億円)に上る個人不良債権を、わずか5.94億元(約120億円)で一括売却する計画を発表した。

この債権は主にクレジットカード事業に関連するもので、50万人以上の債務者が含まれ、1人当たり平均2万元(約40万円)以上の未払い残高がある。最高債務額は135.18万元(約2700万円)、債務者の平均年齢は42歳で、多くが中年の家族を持つ人々だ。これらの債務は返済期限を大幅に超過しており、逾期期間は最長で2000日以上、最短でも1500日以上、つまり4~5年以上に及ぶ。

この不良債権は、6月9日から11日にかけて銀登中心(中国の銀行資産登記・移転センター)で公開競争入札により売却される予定だ。開始価格での売却が実現した場合、光大銀行は108億元(約2160億円)以上の損失を被り、損失率は94%に達する。これは、銀行が不良債権を大幅に切り捨てて処理する姿勢を示している。

中国の14億人の人口のうち、2025年5月時点で約8億人が何らかの負債を抱えているとされる。この膨大な債務者の背景には、クレジットカードや個人ローンの普及が急速に進んだことが挙げられる。しかし、今回の光大銀行の事例からもわかるように、返済能力を超えた借り入れが社会問題化している。50万人以上の債務者が「ブラックリスト」に登録され、信用情報に傷がついた状態にある。これにより、住宅ローンや自動車ローンの利用が制限され、日常生活に大きな影響が出る可能性がある。

それでも、なぜこれほど多くの人が返済を怠るのか? 記事では、全額での住宅や自動車購入が可能な経済的余裕があれば、クレジットカードの債務を放置することはないだろうと指摘する。しかし、実際には債務者が全額購入を選ぶケースは少なく、住宅や車を購入しない、あるいは家族との関係を見直す(離婚など)といった極端な選択をする人もいるのかもしれない。このような状況は、債務者の心理的な強さや生活への影響を疑問視させる。

光大銀行の事例は、業界全体の傾向を反映している。今年3月、江蘇銀行も同様に70億元(約1400億円)以上の不良債権を3.47億元(約70億円)で売却した。この債権は33万人以上の債務者に関連し、1人当たり平均2万元(約40万円)の債務を抱えていた。債務者の平均年齢は38歳、最高債務額は62.71万元(約1250万円)だった。江蘇銀行のケースでも、債権の大幅な切り下げが行われ、銀行業界が不良債権処理を急ぐ姿勢が伺える。

光大銀行の不良債権率は2024年末時点で1.25%と安定しているが、不良債権の規模は487.7億元に達し、前年比で12.93億元増加した。銀行は不良資産の清算を強化し、2024年には397.88億元の現金回収を達成したが、依然として課題は多い。 不良債権の大幅な売却は、銀行の財務健全性を保つための措置だが、債務者への影響は深刻だ。信用情報に傷がついた債務者は、今後の経済活動に制約を受ける可能性が高く、社会全体での債務問題解決が急務となっている。

今回の光大銀行の不良債権売却は、中国の金融システムが直面する構造的な課題を浮き彫りにしている。債務者の生活再建と銀行のリスク管理のバランスをどう取るか、今後の動向が注目される。

(中国経済新聞)