「FIFAワールドカップ カタール2022」が、11月21日に開幕した。6大陸から32チームが出場し、全64試合が行われる。
北京に住む男性Sさんは、今年の8月末に会社を辞めてカタールでワールドカップを観戦するため自転車と車の相乗りでカタールへ向けて出発した。Sさんは、アルゼンチン代表リオネル・メッシのファンで、今回が最後のW杯になるメッシのプレーを見るため、長い旅路の末、19日カタールへ到着した。
SさんのSNSによると、北京から成都まで飛行機で行き、アゼルバイジャンの首都バクーで自転車を購入、その後は、自転車と車を乗り継いでカタールへ向かうという「貧乏旅行」であった。サウジアラビアでは、年配のエクアドル人サッカーファン4人と出会い、5人で車2台を相乗りしアラブ首長国連邦の砂漠を越え、サウジアラビアとの国境にたどり着いた。その後、サウジアラビアからカタールに入り、大型バスでドーハ、そしてアルゼンチン戦の会場であるルサイルへ到着した。
Sさんの話によると、出発前に中国でカタール発行のファンID「Hayya card(ハヤカード)」を入手していたため、カタールに到着後は地下鉄などが無料で利用でき移動もスムーズだった。しかし、ホテルの予約をせずに来てしまったことで、寝る場所の確保に一苦労することになってしまった。初日は、宿泊施設を見つけることができず、且つ、カタールでは、屋外でテントを張ったり、寝転んだりすることが禁止されているため、ショッピングモールの外や公園の中で座れる場所を見つけて仮眠を取った。二日目は、中国人のサッカーファン2人と空港近くのモスクに行った。モスクの中には絨毯が敷いてあり、誰にも呼び止められることがなく久しぶりに熟睡することができた。22日には、中国企業が建設したファン向けの宿泊施設「ファンビレッジ」の部屋を80ドル(約1.1万円)で友人が予約し、友人はベッドで、Sさんは寝袋で休んだ。
カタールではホテル以外にも、どうやって試合を見るかが大きな問題となった。Sさんは準々決勝のチケットしか持っておらず、アルゼンチンが試合を行うグループステージのチケットがなかった。中華料理店やカフェに行って試合の中継を見るには、お金がかかり、ネット配信も料金が高いため、なんとか観戦する方法がないか今も模索している。
こうした一見無謀とも思われるSさんのW杯観戦旅行は、まだまだ続くようで、たとえアルゼンチンが最後まで勝ち進めなかったとしても、大会が終わるまでカタールに滞在し試合を楽しむようだ。
(中国経済新聞)