車載電池の世界最大手である寧徳時代新能源科技(以下、寧徳時代)は12日、同社の世界戦略のレイアウトをさらに深化させ、海外事業展開を推進し、海外市場の需要に応えるため、ハンガリーのデブレツェンで、プロジェクト総投資額が最大73.4億ユーロ(約1兆円)の「ハンガリーにおける電気自動車(EV)用電池産業基地プロジェクト」を建設する意向であることを明らかにした。これは、寧徳時代が米国への投資計画を一時中断していたことに続く、海外市場への進出の新たな動きといえる。
計画によると、寧徳時代のハンガリープロジェクトは敷地面積が約221万平方メートルで、100GWh時の生産能力を持つ拠点を建設し、工期は64カ月以内を予定しており、そのうち第一工場棟は関連認可を受けて2022年中に建設を開始する予定だ。
寧徳時代の曾毓群取締役会長は「デブレツェン工場は、当社の競争力をさらに高め、ヨーロッパの顧客のニーズによりよく対応するのに役立ち、それによってヨーロッパでの電動化への移行を加速させる。また、寧徳時代のハンガリーにおける今回のグリーンフィールド投資は、同社の世界戦略のレイアウトを改善するための大きな一歩となるだろう」と語った。
寧徳時代がヨーロッパに建設した工場は、ドイツ工場に次いで2番目となることが分かっている。4月、寧徳時代は、ドイツのテューリンゲン州にある同社初の海外工場が、8GWhのバッテリーセルの製造許可を正式に取得したと発表した。また、この工場とテスラのベルリンにあるギガファクトリーとの距離は300km以下と言われている。
寧徳時代にとって、海外市場の重要性はますます高まっている。同社の年次報告書のデータによると、2019年、寧徳時代の総収入に占める海外収入の割合はわずか4.37%、2020年には15.71%に急成長、2021年には海外からの収入が278.7億元(約5518億円)で、全営業収入に占める割合は前年比252.47%と、同年の国内収入141.64%の前年比成長率をはるかに上回る水準に達してる。
売上総利益の面でも、海外市場の優位性は大きく、2021年、寧徳時代の国内市場の売上総利益は25.14%、海外市場の売上総利益は30.48%に達している。
8月7日に米議会上院で可決された法案の結果、中国製のバッテリー素材を使用する米国企業は、政府から電気自動車補助金(1台当たり7500ドル=約100万円)を受けられないと規定したため、寧徳時代は米国での投資計画を中断している。また、テスラ社へのバッテリー供給提携の計画も当面見送られることとなった。
(中国経済新聞)