2026世界人工知能大会(WAIC 2026)で、中国のサービスロボットメーカー・擎朗智能(KEENON)は、人型ロボットが実際の業務を担う「具身コミュニティ(Embodied Community)」を公開し、商業化に向けた具体的な活用モデルを披露した。
会場では、人型ロボット「XMAN-R1」が「特別バリスタ」としてカップを取り、コーヒーを抽出し、完成したコーヒーをラテアート装置へ運ぶまでの工程を自律的に実行した。また、ホテルのランドリーでは2台の人型ロボットが連携して洗濯物の洗浄から折り畳みまでを担当し、スイーツショップでは視覚認識システムを活用して指定された色のチョコレートを正確につかみ取る様子が披露された。

これらの展示は、同社が独自開発したVLA(Vision-Language-Action、視覚・言語・行動)モデルを基盤に構築したもので、小売店、コーヒースタンド、スイーツショップ、ホテルなど、実際の商業施設を想定したサービスシーンを再現している。
擎朗智能の創業者兼CEO、李通氏は、「今回の展示はイベント向けのコンセプトではなく、実際の提携企業が抱える課題を解決するために構築したサービスモデルだ。すべての展示には現実のビジネスニーズが存在する」と説明した。
コーヒーサービスでは、同社独自の業務特化型AIモデル「KEENON ProS」を採用。ロボットは周囲の環境を認識しながら細かな力加減を制御し、動作をリアルタイムで調整することで、安定した品質でコーヒーを提供できるという。
李氏は、擎朗智能の人型ロボット開発について、「私たちが示しているのは5つのサービスシーンではなく、技術と商業化を結び付ける一つの仕組みだ」と語る。同社は、VLAアーキテクチャーを技術基盤とし、人型ロボットと用途特化型サービスロボットを組み合わせる戦略を採用。まずは受付や案内、コーヒー作りなど具体的な業務で実績を積み、現場データを蓄積しながら人型ロボットの汎用能力を高めていく方針だ。
「人型ロボットをゼロから開発するのではない。16年間にわたり商用サービスロボットで培った技術や現場データを土台として、その上に発展させている」と李氏は強調した。
IDCの2025年レポートによると、擎朗智能は商用サービスロボットの世界出荷台数で業界トップクラスを維持している。現在、世界で10万台以上のロボットがホテル、商業施設、レストラン、病院などで日常的に稼働している。
李氏は、「技術は実際の現場で活用されて初めて価値を持つ。業界は性能競争から価値検証へと軸足を移すべきだ」と指摘。「人型ロボットを本当に働かせることこそ、商業化の本質である」と述べた。
さらに、「産業界はいま、技術実証の段階から生産性向上の段階へと移行しつつある。技術革新だけでなく、現実的な商業化モデルの構築、オープンな産業エコシステムの形成、国際標準の相互接続が重要になる」との見方を示した。
同社は今後も、人型ロボットが日常生活や産業現場に広く浸透することを目指し、業界各社と連携しながら大規模な商業化を推進していく考えだ。
(中国経済新聞)
