シンガポール航空は6月初め、シンガポール―杭州間の直行便を新たに開設した。1日1往復で運航される同路線は、同社にとって中国本土で9番目の就航都市となり、グループ全体(シンガポール航空および Scoot〈スクート〉)では中国本土22番目の就航拠点となる。
杭州線の開設により、シンガポール航空は中国本土とシンガポールを結ぶ便を週112便運航することとなり、コロナ禍前の週91便を大きく上回った。さらに、一部路線ではナローボディ機からワイドボディ機への大型化も進み、供給座席数は大幅に増加している。
航空データ会社の統計によると、2026年5月時点で中国―シンガポール路線の運航回復率は114.7%に達し、すでにコロナ前の水準を超えている。一方、中国―タイ路線の回復率は59.3%にとどまっており、中新路線の回復の速さが際立っている。
杭州蕭山国際空港によると、シンガポール航空の参入前から杭州―シンガポール線には4社が就航しており、2026年に入ってからの両都市間の旅客数は8万5,000人を超え、前年同期比11.9%増となった。
シンガポール航空の戴浩宇・市場計画担当上級副社長は、「中国の海外旅行需要は引き続き拡大しており、ビジネス需要とレジャー需要の双方が堅調に伸びている」と説明する。2025~2026年度(2025年4月~2026年3月)には、中国本土とシンガポール間で同社グループが輸送した旅客数が400万人を超え、前年度比8.1%増となった。
需要拡大の大きな要因として挙げられるのが、2024年2月から実施されている中国とシンガポールの相互査証(ビザ)免除措置だ。これにより両国間の往来が大幅に活発化した。

シンガポール観光局の統計によると、2024年にシンガポールを訪れた中国本土からの旅行者は308万人に達し、前年比126%増を記録した。中国は再びシンガポール最大の訪問客市場となり、2025年も首位を維持している。
旅行市場では、コロナ後に旅客構成にも変化が見られる。団体旅行客は減少し、個人旅行(FIT)が増加。30~39歳を中心とする高所得層は、価格よりも品質を重視し、ビジネスクラスやファーストクラス、高級ホテル、オーダーメード型の旅行商品を選ぶ傾向が強まっている。
一方、中国の入国ビザ緩和策も東南アジアからの訪中需要を押し上げている。旅行業界の調査では、韓国、シンガポール、マレーシアが中国への主要な訪問客供給国となっており、2024年のシンガポール国籍旅客の中国入国者数は前年比110%増となった。
シンガポール航空によると、中国路線利用者の20~30%はオーストラリアや東南アジア各国からシンガポール経由で乗り継ぐ旅客であり、同社ネットワークを通じて東南アジアや南太平洋地域の42都市へアクセスできるという。
もっとも、市場競争は一段と激しさを増している。現在、中国―シンガポール路線には国内外合わせて17社の航空会社が参入しており、多くの航空会社がコロナ前を上回る便数を運航している。業界関係者は、「今後は海外からの乗り継ぎ需要をどれだけ取り込めるかが、各社の搭乗率や収益性を左右する重要な鍵になる」と指摘している。
(中国経済新聞)
