中国、炭酸飲料が全く売れなくなった

2026/07/24 18:30

かつて夏の飲料市場を席巻した「国民的快楽水」が、今や全く売れなくなっている。健康意識の覚醒、消費選択の多様化、そして核心客層の世代交代が重なり、炭酸飲料は「みんなの必需品」から「たまに楽しむ小物」へと急速に転落した。これは単なる消費の低迷ではなく、業界全体を根本から揺るがす不可逆的な大転換だ。

 江蘇省のスーパー店主が動画で「去年まで夏に飛ぶように売れた炭酸飲料が、今年はタダで配っても誰も欲しがらない」と吐露した。この一言が瞬く間に全国の同業者や消費者の共感を呼んだ。決して一部の店舗だけの話ではない。2026年第二四半期のオフライン飲料売上高は前年比11・78%減と大幅に落ち込み、炭酸飲料、糖分入りボトル茶、即飲果汁などの伝統カテゴリが軒並み苦戦している。

 かつて夏の冷蔵ケースの中央を独占していた「快楽水」は、今や卸売業者の倉庫に積み上がる「厄介者」となった。ある卸売業者は「気温が高くなるほど、心臓がドキドキする」と本音を漏らした。需要と供給の完全な逆転現象だ。

 この劇的な変化の背景には、消費者の価値観が大きくシフトしたという根本的な要因がある。店主たちの指摘で最も多く挙がるのが「健康」だ。「今のお客さんは糖分の多いものは飲まない。不健康なものは飲まない。とにかく糖質コントロールに敏感で、お金を使うなら絶対に健康的なものを選ぶ」という声が共通している。

 かつて「幸せの源泉」と称賛された高糖質炭酸飲料は、今や「高糖」「不健康」のレッテルを貼られ、控糖を最優先する若い世代から敬遠されている。食品専門家たちもこの指摘に同意しつつ、さらに深い構造変化を指摘する。飲料の消費シーンそのものが、根本的に再構築されているというのだ。

 近年、現制茶飲料やコーヒーショップが価格競争を激化させ、9・9元のコーヒーや4元のレモン水が日常的に手に入るようになった。新鮮さとカスタマイズ性の高さは、棚に並ぶ瓶詰め飲料では到底太刀打ちできない。また、即時配送、コミュニティ共同購入、零食ディスカウント店の台頭が、従来のスーパーや卸売ルートに「次元を超えた打撃」を与えている。消費者が外出時に水筒を持参する習慣も定着しつつあり、瓶詰め飲料は「必須アイテム」ではなくなった。

 こうした需要側の根本変化は、上流のブランドメーカーと下流の卸売業者の間の矛盾を一気に顕在化させた。各ブランドは販売目標を達成するため、卸売業者に在庫を押しつけながらも、資源と低価格政策を直営・直送チャネルに集中させている。その結果、卸売価格がディスカウント店の小売価格を上回る「価格逆転」が発生し、卸売業者は「1本売るごとに損をする」状況に陥っている。このサプライチェーン全体の痛みは、消費者の変化がもたらした必然的な「自己革命」の表れだ。

 「快楽水」がもはや快楽ではなくなった。高糖時代は確かに終わりを告げようとしている。

 ブランドや事業者にとって、重要なのは「気温が高くても売れない」と嘆くことではなく、根本的な「火を下げる」取り組みだ。過度に高く設定された価格を下げ、余分な添加物を減らし、「解消・健康・高コスパ」という原点に立ち返ることこそが、次のステージで生き残る唯一の道だろう。

毎年、猛暑が訪れると飲料業界は本来なら黄金の販売シーズンを迎えるはずだった。従来の市場法則では、冷えたコーラやスプライト、老舗の炭酸飲料はコンビニやスーパーの冷蔵ケースを独占し、家庭の夏の必需品であり、焼肉や串焼き、火鍋の定番でもあった。しかし今年の夏は、明らかに異常な現象が市場を覆っている。かつて品薄で争奪戦が起きていた炭酸飲料が、完全に神壇から落ち、大規模な滞留・在庫過多に陥り、商超や小売店で最も売りにくい商品の一つとなった。

 多くの人がこの現象を「消費の低迷」や「一時的な天候要因」と単純に片付けるが、実際の市場メカニズムははるかに深い。炭酸飲料の売上低迷は、偶然の波ではなく、大衆の消費観念の世代交代、市場競争の高度化、そしてニーズの根本的変化がもたらした必然の結果であり、業界の不可逆的な再編成だ。

 最大の痛点は、全民的な健康意識の完全なる覚醒だ。これが炭酸飲料が神壇から落ちた根本原因である。十年前までは、飲料を選ぶ基準は「味」だった。冷えた炭酸の爽快な刺激と甘い味わいは、夏のシンプルな幸せだった。「快楽肥宅水」というミームがネットを席巻し、若者たちは無邪気に飲み続け、原材料表示を気にする人はほとんどいなかった。しかし今や、消費者の思考は完全に逆転した。「まず原材料表示を確認する」ことが、飲料選びの第一歩となった。

 伝統的な炭酸飲料の弱点は致命的だ。高糖質・高カロリー・添加物多め。原材料表示の上位はほぼ白砂糖と果糖ブドウ糖液糖で占められ、長期摂取は肥満、ニキビ、肌のくすみ、血糖値の上昇、カルシウム吸収阻害、胃腸への負担など、さまざまな健康リスクを伴う。体型管理を重視する若者、健康を気にする中高年、子どもの食事を厳しく管理する親のいずれもが、高糖質炭酸飲料から積極的に距離を置いている。可口可楽や百事などの大手ブランドが無糖シリーズを急ぎ展開し、代糖で挽回を図っても、かつての勢いを取り戻すのは容易ではない。消費者が炭酸飲料を避ける理由は糖分だけではない。気泡による腹部膨満感、胃酸過多、「飲めば飲むほど喉が渇く」という弊害こそが、長期的に見放される決定的な要因なのだ。

 第二に、飲料市場の爆発的な拡大が、炭酸飲料の核心顧客を完全に分流させた。過去の飲料市場は選択肢が極めて限定的で、夏の解消手段は白湯かミネラルウォーター、そして炭酸飲料しかなかった。選択肢がない状況下で、炭酸飲料は自然と全民の第一選択となった。しかし今や、新式飲料が次々と登場し、伝統的な飲料構造を根本から覆している。養生志向の人は無糖原葉茶や漢方涼茶を好み、運動・フィットネス層は電解質水や機能性飲料を必要とし、さっぱりした甘さを求める人は天然ココナッツウォーターやフレッシュフルーツティーを好む。利便性と上質さを求める人は、常備のボトルコーヒーやフルーツ軽飲料を選ぶ。

 同等の価格帯・消費シーンにおいて、新式飲料はゼロ糖・ゼロカロリー・天然・健康・機能性を前面に押し出し、通勤、運動、在宅、職場など全シーンに対応する。一方、口味が単調で負担の大きい炭酸飲料は、競争力が著しく弱体化し、もはや単一の味覚優位性だけで市場を独占することはできない。消費選択の多様化が、炭酸飲料が長年維持してきた市場の壁を直接打ち破った。

 さらに、核心消費層の世代交代が、炭酸飲料の市場基盤を根本から奪っている。炭酸飲料の忠実顧客は主に80後・90後世代だ。この世代の青春の記憶には、冷えた炭酸飲料が欠かせない夏の儀式として刻まれている。しかし今やこの世代はすでに中年期に入り、養生・糖質コントロール・身体のメンテナンスが生活の常識となった。炭酸飲料を飲む頻度は大幅に低下し、かつての忠実顧客は徐々に市場から退場しつつある。

 一方、00後・10後という新生代の若者たちは、幼い頃から健康志向の新式飲料に触れて育ち、炭酸飲料を日常的に飲む習慣を身につけていない。老舗の炭酸飲料に対するノスタルジーも薄い。彼らの消費美学は、清涼・低負担・高コスパ・機能性を重視する傾向が強く、甘ったるい炭酸飲料には本能的に反応しない。老顧客が退場し、新規顧客の層が薄いままでは、炭酸飲料の顧客基盤は継続的に縮小せざるを得ず、売上低迷は必然の結果となる。

(中国経済新聞)