中国の工業企業利益、1~8月は15.7%増 電子産業が6割超を寄与

2026/09/29 13:00

中国国家統計局が発表したデータによると、2025年1~8月の全国の一定規模以上の工業企業の利益総額は前年同期比15.7%増となった。工業生産が安定的に推移するなか、工業製品価格の上昇幅が拡大したことに加え、人工知能(AI)などを中心とする新たな成長分野が企業収益を押し上げた。

一方、8月単月の利益は前年同月比4.2%増となり、7月から伸び率が7ポイント鈍化した。中国国家統計局工業司の于衛寧・首席統計師は、前年同月の比較対象となる基数が高かったことが主な要因と説明している。

ただ、売上高から営業コストを差し引いた粗利益でみると、8月は前年同月比7.5%増と、7月から1.9ポイント加速した。利益の伸びが一時的に鈍化したものの、企業の収益力そのものには改善がみられる。

業種別では、電子産業の寄与が際立った。AIをはじめとする新技術の応用が急速に広がり、関連分野の需要が拡大したことで、1~8月の電子産業の利益は前年同期比で約2.1倍となった。

電子産業による利益増加への寄与率は、一定規模以上の工業企業全体の利益増加分の62.0%に達した。電子産業が中国の工業企業全体の利益成長を支える主要なエンジンとなっている。

新エネルギー車(NEV)、モノのインターネット(IoT)、コンピューティングパワー(算力)センターなどの新興分野で半導体需要が増加したことも追い風となった。光電子デバイス製造業の利益は72.0%増、半導体ディスクリートデバイス製造業は51.8%増となった。

さらに、電子産業向け基礎材料の需要も拡大し、電子専用材料製造業の利益は2.3倍、電子回路製造業は49.1%増となった。

ハイテク製造業、利益が54.7%増となった。ハイテク製造業も工業企業の収益改善を大きくけん引した。1~8月の一定規模以上のハイテク製造業の利益は前年同期比54.7%増となり、工業企業全体の伸び率を39.0ポイント上回った。特に、算力インフラの整備が加速したことを背景に、光ファイバー製造業の利益は5.3倍、光ケーブル製造業は2倍に増加した。

AIの普及やデジタルインフラ投資の拡大を背景に、半導体や通信関連設備などへの需要が増加しており、ハイテク分野が中国の工業利益に占める重要性は一段と高まっている。

原材料製造業も利益拡大に寄与した。国際原油価格や非鉄金属価格の上昇を背景に、1~8月の一定規模以上の原材料製造業の利益は前年同期比47.3%増加し、工業企業全体の利益増加率を6.2ポイント押し上げた。

業種別では、化学工業の利益が51.0%増、非鉄金属業が82.9%増となった。また、石油加工業は前年同期の赤字から黒字に転換し、利益総額は562.9億元となった。

工業企業の収益環境を示す指標にも改善が表れている。1~8月の一定規模以上の工業企業では、売上高100元当たりのコストが85.07元となり、前年同期から0.41元低下した。単位コストは年初以降、前年同期比で低下する傾向が続いている。また、営業収益に占める利益の割合を示す営業利益率は5.66%となり、前年同期から0.44ポイント上昇した。

中国首席エコノミストフォーラムのメンバーである龐溟氏は、減税・費用削減や融資保証など企業支援策の効果が表れていると指摘。工業生産の安定的な伸びとマクロ政策の相乗効果によって、企業の粗利益率や総合的なコスト管理能力が改善し、費用削減や事業構造の最適化が収益改善を後押ししているとの見方を示した。

今後の工業企業利益について、中国銀河証券は、利益総額そのものは増加基調を維持するものの、伸び率は鈍化する可能性があるとみている。

その背景として、工業製品出荷価格指数(PPI)の上昇がピークを越え、幅広い製品の値上がりによって売上高や利益率を押し上げる余地が縮小する可能性を挙げている。

一方、AI向け算力、電子情報、高度装備、銅・アルミニウムなどの関連素材については、需要拡大、生産量の増加、技術高度化という複数の追い風が見込まれる。こうした分野では、価格上昇に依存するのではなく、数量の増加によって利益を確保する「以量補価」の動きが、今後の工業企業利益を支える可能性がある。

中国の工業企業利益は、資源価格の上昇による原材料産業の回復に加え、AIや半導体、算力インフラなど新興産業の急成長によって押し上げられている。8月の利益増加率には鈍化がみられたものの、コスト低下や利益率の改善が続いており、工業企業の収益構造には一定の改善が進んでいる。

(中国経済新聞)