中国の自動車メーカーが欧州市場で存在感を一段と高めている。欧州自動車工業会(ACEA)が公表した最新データによると、2026年6月に欧州連合(EU)、欧州自由貿易連合(EFTA)、英国を合わせた市場で、中国の主要自動車メーカー5社の新車販売台数が日系メーカー6社を上回り、5月に初めて実現した逆転を2カ月連続で維持した。中国ブランドと日系ブランドの販売台数の差は、5月の約8,000台から約1万3,000台へと拡大している。
6月の同地域における新車販売台数は約141万台だった。このうち、中国メーカーでは吉利集団(Geely)、上海汽車集団(SAIC)、BYD、奇瑞汽車(Chery)、零跑汽車(Leapmotor)の5社が合計17万1,630台を販売し、市場シェアは約13%となった。前年同月比では約5.1ポイント上昇した。
一方、トヨタ、日産、スズキ、マツダ、ホンダ、三菱自動車の6社を合わせた販売台数は15万8,540台で、市場シェアは約11.1%にとどまった。販売台数では中国ブランドが日系ブランドを1万3,090台上回り、欧州市場で優位性をさらに広げた。
ブランド別では、中国勢、日系ともに明暗が分かれた。日系ではトヨタグループが約8万9,000台を販売し、引き続き強固な市場基盤を維持した。日産は約2万4,600台、スズキとマツダはそれぞれ約1万7,000台規模となり、ホンダは6,093台、三菱自動車は4,559台だった。
欧州市場全体が成長する中で、前年同月比で販売が減少した日系メーカーは日産と三菱自動車のみで、日産は4.9%減、三菱自動車は31.0%減となった。
日系メーカーはガソリン車やハイブリッド車を中心に販売を維持しているものの、電気自動車(EV)の投入ペースが比較的緩やかで、欧州で拡大する電動車需要への対応が課題となっている。
これに対し、中国メーカーは各社が異なる戦略で市場を開拓している。吉利集団は4万9,244台を販売して中国勢トップとなり、上汽集団とBYDはいずれも約3万8,000台、奇瑞汽車は3万2,455台、零跑汽車は1万2,829台を販売した。
BYDはEVとプラグインハイブリッド車(PHEV)を主力として展開し、上汽集団はMGブランドの販売網を強化。奇瑞汽車は幅広い価格帯の商品を投入し、零跑汽車は提携先との協業による生産体制を活用して販売網を急速に拡大している。

販売拡大の背景には、中国メーカーによる欧州での現地生産の推進もある。BYDはハンガリー工場の稼働準備を進めており、上汽集団はスペインでの新工場建設計画を決定。吉利集団は海外メーカーとの生産能力共有を模索し、零跑汽車も提携工場を活用した現地生産を進めている。
さらに、吉利汽車は7月23日、香港証券取引所への開示で、2億2,100万ユーロを投じてフォードのスペイン工場に出資し、欧州で合弁会社を設立する計画を発表した。現地生産体制の整備により、輸入関税によるコスト負担の軽減や納期短縮に加え、欧州で厳格化するCO₂排出規制や現地調達比率に関する規制への対応を進める狙いがある。
もっとも、中国ブランドのシェア拡大が直ちに日系メーカーの競争力低下を意味するわけではない。特にトヨタは長年にわたり築いたブランド力と顧客基盤を持ち、ハイブリッド車への安定した需要や充実した部品供給体制を強みとしている。市場シェアは6.3%と、中国勢トップ2の吉利集団と上汽集団を合わせた規模をなお上回っている。
また、市場全体では欧州メーカーが依然として圧倒的な存在感を維持している。フォルクスワーゲングループ、ステランティス、ルノーグループの市場シェアはそれぞれ24.6%、13.6%、10.5%とやや低下したものの、中国勢や日系勢を依然として大きく上回っており、欧州市場では地元メーカーが引き続き主導権を握っている。
(中国経済新聞)
