中国・上海で2026年の大型公演シーズンが幕を開ける。上海文広集団(SMG)はこのほど、「SEE YOU IN SHANGHAI 上海見!」2026年演出シーズンを発表し、世界的人気ミュージカルや没入型作品など、多数の国際IP作品を投入することを明らかにした。
ラインアップには、没入型音楽ショー「Arcane: League of Legends(双城之戦)」の世界初演、英語版ミュージカル「The Phantom of the Opera(オペラ座の怪人)」40周年・上海ファイナルシーズン、映画「Moulin Rouge!(ムーラン・ルージュ)」を原作とする英語版ミュージカル「Moulin Rouge! The Musical(夢断花都)」の中国初演などが含まれる。
2025年には「SEE YOU IN SHANGHAI」ブランドのもと、「Les Misérables(レ・ミゼラブル)」40周年記念コンサート版など5作品を上演。年間公演数は約1000回、販売チケット数は56万9000枚、興行収入は2億4000万元(約52億円)に達した。
さらに、演劇・観光関連産業への経済波及効果は10億元(約220億円)を超えたと推計されている。観客のうち約6割が上海以外からの来場者で、上海が「アジアの演劇都市」として強い集客力を持つことを示した。
「オペラ座の怪人」再び上海へ。1986年にロンドンで初演された「The Phantom of the Opera」は、9月29日から12月6日まで上海大劇院で40周年記念の“上海ファイナルシーズン”を開催する。今回の上海公演では、1986年ロンドン初演版を再現。キャストとオーケストラを合わせ約130人が参加し、230着以上の手縫い衣装を使用する。全22回の舞台転換があり、平均5分ごとに場面転換が行われる大規模作品となる。チケットは発売開始から15分で完売し、中国での根強い人気を改めて示した。

また、「オペラ座の怪人」25周年記念公演で“歴代最高のファントム役の一人”と評価されるラミン・カリムルー(Ramin Karimloo)が、特別出演することも発表された。SMGライブエンターテインメントグループの馬晨騁総裁は、「私たちは十分な誠意を示した。そして何より、ラミン自身が上海を気に入り、この街を選んだ」と語った。
ラミンは上海向けのビデオメッセージで、「年齢を重ねるにつれ、昔の作品や場所を再発見し、新たな意味を与えるようになる。今年は午年であり、自由と行動の象徴だ。過去を繰り返すのではなく、新たに演じ直す年になる」とコメントした。さらに、2025年国際ツアーで高評価を得たサミュエル・ウィン=モリス(Samuel Wyn-Morris)も、一部公演でファントム役を務める。

SMGは今回、「ファントム中国計画2.0」も発表。今後は英国LW Entertainmentと連携し、「The Phantom of the Opera」のIPを活用した没入型演劇、屋外イベント、テーマレストラン、関連グッズなどを展開する。
特に没入型「オペラ座の怪人」はアジア初上演となる予定で、中国全土やアジア各地から観客を呼び込むことが期待されている。
「ムーラン・ルージュ」中国初演。ミュージカル「Moulin Rouge! The Musical」は、12月15日から2027年1月3日まで、上海交通銀行前灘31演芸センターで中国初演される。
同作品は、バズ・ラーマン監督による映画「Moulin Rouge!」を原作に、160年以上にわたる音楽史の名曲70曲以上を融合。華やかで奔放な舞台演出を通じて、“愛と自由”をテーマに描く。
トニー賞やローレンス・オリヴィエ賞を多数受賞した人気作として、中国でも大きな注目を集めている。
「Arcane」没入型ショーが世界初演。2026年シーズン最初の大型作品となるのが、没入型音楽ショー「Arcane: League of Legends(双城之戦)」です。人気アニメ「Arcane」を原作とし、英国の没入型劇団PunchdrunkとSMGライブエンターテインメントが共同制作。制作には約2年を費やした。
会場には作中の「ザウン」と「ピルトーヴァー」の街並みが再現され、観客は120分間、境界のない没入体験を楽しめる。

2026年1月のテスト公演開始以降、ネット上での関連露出数は3億回を超え、口コミサイト「豆瓣」や「猫眼」でも高評価を維持。海外ファンが上海を訪れるケースも増えているという。
中国側の美術デザイナー趙娜莉氏は、「アニメの世界観を現実空間へ落とし込むため、多くの技術的挑戦があった」と説明。作品内の象徴的存在「ザウンの目」や、直径6メートルの巨大回転ファンなども実物として再現された。
“演劇都市・上海”の存在感。上海では現在も、舞劇「永不消逝的電波」、舞劇「朱鷺(The Crested Ibis)」、没入型演劇「Sleep No More(不眠之夜)」、大型マルチメディアショー「ERA 時空の旅2」などが長期常設公演を続けている。
SMGはさらに、遠方観客向けに「888VIP」会員制度を導入。公演中止時には宿泊費や航空券補助を受けられる「安心観劇」サービスも開始する。
また、上海文広演芸は錦江ホテルと戦略提携を締結。演劇IPを活用したアフタヌーンティー、テーマルーム、没入型宿泊体験などを共同開発し、“演劇と都市観光の融合”を加速させる方針だ。
2025年にはミュージカル「SIX」が54日間で64公演を実施し、総興行収入3600万元(約7億9000万円)を記録。「レ・ミゼラブル」40周年記念コンサート版は65公演で総売上1億1000万元(約24億円)を突破した。
また、「Sleep No More」上海版は9年間で2500公演を達成し、周辺消費への経済効果は累計40億元(約880億円)を超えたという。
上海は現在、中国国内ミュージカル市場の半数以上の興行収入を占める。成熟した観客層と高い消費力、さらに長期公演を支える交通・宿泊・商業インフラを背景に、“アジア最大級の演劇都市”として存在感を高めている。
(中国経済新聞)
