陝西省で西北初の8インチ半導体ライン稼働 高性能チップ国産化へ前進

2026/05/14 10:30

世界の半導体産業構造が大きく変化する中、中国の集積回路産業は「量的拡大」から「高付加価値化」への転換期を迎えている。こうした中、陝西省西安市では2025年末、陝西電子信息集団(Shaanxi Electronic Information Group)が出資主体となる陝西電子芯業時代科技有限公司(Shaanxi Electronic Xinye Times Technology Co., Ltd.)の8インチ高性能特色プロセス半導体生産ラインが正式に稼働を開始した。

これは中国西北部で初となる8インチ高性能特色プロセス半導体生産ラインであり、陝西省が高性能チップ製造分野で大きな前進を遂げた象徴的なプロジェクトと位置付けられている。

同プロジェクトは、車載向けや産業用向けを中心に、パワー半導体ICやMEMSセンサーなど高付加価値製品の製造に特化。新エネルギー車、太陽光・風力発電、蓄電システムなど、中国の戦略的新興産業向け需要を主なターゲットとしている。

第1期の投資額は32億元(約700億円)で、月産能力は5万枚のウエハー。将来的には10万枚規模まで拡張可能としている。

陝西電子信息集団副総経理であり、陝西電子芯業時代科技有限公司董事長を務める楊柯(Yang Ke)氏は、「この生産ラインは陝西省の集積回路製造分野の不足を補うだけでなく、設計、パッケージング、テストなど関連企業の集積を促し、地域独自の半導体産業クラスター形成につながる」と強調した。

半導体産業は典型的な資本集約型・技術集約型産業とされるが、同社は官民混合型の所有制度を採用。長期投資資金や戦略投資家を積極的に導入し、チップ設計、パッケージング、テスト分野の企業との連携を進めている。

陝西電子芯業時代科技有限公司の張国偉(Zhang Guowei)総経理は、「単なる生産能力拡大ではなく、生産要素の最適配置を通じて、パワー半導体産業チェーン全体の高度化を推進することが狙いだ」と語った。

また、人材戦略も同社の大きな特徴となっている。技術人材の多くは江蘇省、浙江省、上海市、深圳市など中国半導体産業の集積地から集まっており、現在のチーム規模は約380人。このうち、8年以上の実務経験を持つ人材が44%を占め、修士号以上の学歴を持つ技術者は40%に達する。

さらに、同社は「技術中核人材持株制度」などを導入し、社員と企業成長を長期的に結び付ける制度づくりを進めている。

生産ライン建設のスピードも際立っている。2024年5月に主工場の基礎工事が始まってから、わずか1年余りで建設から稼働開始までを実現。現在は露光やエッチングなど主要工程設備の調整がほぼ完了し、製品歩留まり率は95%を超えているという。

同社は設備の国産化にも力を入れており、主要製造設備の国産化率は60%超、補助設備や部材では90%近くに達している。これにより、海外サプライチェーンへの依存リスク低減を図るとともに、中国半導体装置産業の育成にも貢献している。

また、全設備の80%以上が第三世代半導体の研究・製造に対応可能で、炭化ケイ素(SiC)など次世代材料への展開も視野に入れる。工場インフラも将来的な12インチ生産ライン拡張を前提に設計されており、「稼働時点で先進性を確保する」という理念を具体化している。

研究開発面では、国家級科学者チームと連携し、超高圧パワーデバイスや高信頼性MEMS技術など先端分野を重点開発。さらに、State Grid Corporation of China(国家電網、State Grid Corporation of China)やOmniVision Technologies(豪威科技、OmniVision Technologies)など大手企業とも協力し、量産化に向けた実証を進めている。

同社は「第15次五カ年計画」期間中に累計190億元を投資し、中国トップクラスの特色プロセス型ウエハー製造プラットフォーム構築を目指す方針だ。

西安から生まれる「西安チップ」は、今後、新エネルギー車、再生可能エネルギー、AIデータセンターなど幅広い分野に供給される見通しで、中国半導体産業の国産化推進と技術革新を支える存在として注目を集めている。

(中国経済新聞)