中国ではメーデー(五一)連休を目前に控え、観光・文化消費市場をめぐる各地の誘客競争が一段と激しさを増している。各地政府は相次いで消費クーポンや補助金を打ち出し、国内外からの観光客の取り込みを図っている。
4月27日、文化・観光部は「2026年全国“五一”文化・観光消費週間」に関する記者説明会を開催した。期間中、各地では花見やアウトドア、親子旅行、研学旅行といった需要に対応した商品やイベントを展開し、約1万3700件の関連イベントを実施する予定だ。また、総額2億8400万元以上(約60億円)の消費クーポンなどが配布される見込みだ。
同日、重慶市も会見を開き、4月25日から5月5日までの11日間、「五一ゴールデン消費週間」を実施すると発表した。市内の主要商業施設と連携し、700以上の消費促進イベントを展開、総額10億元以上(約210億円)の割引や優待を提供する。
海南省では4月20日、「自由貿易港の恩恵を共有、美しい海南を楽しむ」をテーマとした観光消費クーポンの配布を開始した。政府主導で3000万元(約6億3000万円)を投入し、航空券、ホテル、観光地など幅広い分野で利用可能な優待を提供しており、実施期間は9月30日までとなっている。
また、杭州市は4月28日から5月5日まで、「千年呉越・AI杭州」をテーマにした春季観光キャンペーンを展開。総額2000万元超(約4億2000万円)の補助金を配布し、入場券、宿泊、飲食、交通、買い物までを網羅する施策と、100件以上のイベントを実施する。
こうした動きは全国に広がっており、多くの地域が五一連休の大規模な人流を取り込むべく、文旅消費クーポンの配布を進めている。
文化・観光部のデータセンターによると、2025年の五一連休(5日間)の国内旅行者数は延べ3億1400万人で前年比6.4%増、旅行消費額は1802億6900万元(約3兆7800億円)で同8.0%増となった。今年は一部地域で春休みと連休が重なり、休暇期間が延びたことから、さらなる旅行需要と消費拡大が見込まれている。
旅行業界関係者によれば、4月には一部都市で中小学生の春休みが研学旅行需要を押し上げ、鉄道チケットが即完売するなどの現象も見られた。旅行サイトの報告でも、浙江省では春休みと五一連休が連続し、「3+5」の長期休暇が形成され、旅行需要が大きく刺激されたとされる。生活サービス大手のデータでも、杭州発の親子向け民宿予約が前年比10倍以上に増加するなど、家族旅行の消費牽引力が際立っている。
交通運輸部は、今年の五一連休における全国の人の移動量が過去最高となる見通しを示しており、延べ15億2000万人、1日平均3億400万人(前年比4%増)に達すると予測している。
一方で、4月の春休み期間中にすでに旅行を済ませた家庭もあり、需要の一部が前倒しされている可能性も指摘されている。
さらに各地は、国内需要に加え、インバウンド観光客の誘致にも力を入れている。重慶市は免税手続きや外貨両替、海外カード決済の利便性向上を進めるとともに、重点商業エリアや約300の免税店と連携し、東南アジアや韓国などからの訪問客に向けた消費パッケージを提供する。
海南省は航空券と連動したクーポン施策を導入し、海外旅行サイトと連携して500万元(約1億円)分の航空券割引を提供。東南アジアや日本・韓国などの観光客には条件付きで最大400元(約8400円)、その他地域の観光客には最大600元(約1万2600円)の割引が適用される。
四川省は海外でのプロモーションを強化し、スペイン・バルセロナで観光週間を開催。無料入場券の配布や航空券優待、現地旅行業者の招待などを通じて誘客を図っている。
統計によると、2025年の訪中観光客は延べ15億4500万人(前年比17.1%増)に達し、消費額は1311億ドル(約20兆円)で同39.2%増と大きく伸びた。ビザ免除政策の拡充も成長を後押ししており、免除措置を利用した外国人入国者は3008万人(同49.5%増)に上っている。
専門家は、中国の国内観光市場は成熟段階に入りつつあり、新たな成長分野としてインバウンド市場への期待が高まっていると指摘する。一方で、言語や決済、予約、文化の違いといった課題も残されており、受け入れ体制の整備が今後の発展の鍵になるとみられている。
(中国経済新聞)
