各地が春節インバウンド実績を公表、山西省大同は735%増と急伸

2026/02/27 15:05

馬年の春節(旧正月)をきっかけに、中国のインバウンド市場は各地で大きく伸びた。地方政府が相次いで公表した「成績表」からは、訪中観光の回復が一時的な反動増にとどまらず、構造的な拡大局面に入りつつあることがうかがえる。なかでも山西省大同市は、前年比735%増という全国トップの伸び率を記録し、注目を集めた。

入国者数は倍増、航空券予約は4倍超に

中国外交部の発表によると、馬年の春節は「世界が共有する文化の祭典」となり、期間中の中国への入国観光客数は前年同期比で倍増した。外国人による春節期間の中国行き航空券予約も、前年同期比で400%超増加した。

文化・観光部データセンターの試算では、春節9連休中に中国を訪れた観光客は160以上の国・地域に及び、足跡は国内300超の都市に広がった。1日当たりの入国者数は前年同期比で28.5%増と堅調に伸びている。

免ビザ効果が本格化

インバウンド急増の背景には、免ビザ政策の拡充がある。中国は馬年の旧正月初日から、カナダと英国に対する一方的な免ビザ措置を開始。さらに2026年1月にはトルコを追加し、単独で免ビザを認める対象国は計50カ国に拡大した。

ビザ緩和に加え、通関手続きの簡素化、出国時の税金還付制度の改善、決済環境の国際化対応、文化・商業・観光・スポーツ・展示会を連動させた消費促進策などが重なり、中国の入国観光市場は安定した成長軌道に乗りつつある。

華泰証券のリポートによれば、訪中観光の人気目的地や消費項目は一段と多様化している。外国人観光客の一人当たり消費額は高水準で、2026年の消費押し上げ効果は2025年を上回る可能性があるという。微信支付(ウィーチャットペイ)のデータでも、海外発行カードをひも付けた対面決済件数が高い伸びを維持し、訪中客によるミニプログラム利用者数は前期比で2倍超に増加した。

「大都市から地方へ」広がる周遊型観光

今年の特徴は、外国人観光客の「より深く知る旅」志向の高まりだ。まず北京や上海、広州といった大都市を訪れ、その後、地方都市へ足を延ばす動きが目立つ。

旅行予約サイトのデータでは、春節期間中の訪中航空券予約は前年同期比で約10倍に急増。外国人による国内線利用は107都市に広がり、井岡山や阿勒泰、武夷山など、これまで訪問が限られていた地域にも波及している。

各地の「成績表」―山西省大同は735%増

地方別の発表を見ると、伸びの大きさが際立つ。

上海税関によれば、春節期間中の出国時税金還付手続きは5,640件、1日平均626件で、前年同期の約3倍。上海市の出国時税還付対象売上高は8,000万元超(約16億8,000万円、1元=約21円換算)と、前年同期比1.5倍に増加した。

北京市は、春節期間中の入国観光客数が14万2,000人、関連消費額は14億8,000万元(約310億8,000万円)で、いずれも40%超の伸びを記録した。

広東省は入国観光客654万3,000人で前年比34.8%増。このうち香港・マカオからの来訪は22.6%増、外国人客は42.2%増と高い伸びを示した。

山西省大同市は前年比735%増で全国首位。内モンゴル自治区フフホト市も航空券予約が前年同期比1.8倍となり、人気目的地入りを果たした。成都市は入国観光客7万7,000人で47.2%増、英国、米国、シンガポール、香港からの来訪が目立った。

浙江省では2月15日から22日までの外国人入国者数が18.9%増。杭州の清河坊歴史街区や嘉興の烏鎮が人気を集めた。江蘇省の外国人入国者は約6.9%増、うち免ビザでの入国は5,000人超。福建省は入国観光客数が16.7%増、入国観光消費は29.6%増と、消費面での伸びがより顕著だった。

海南は制度効果で免税売上30%増

海南省も制度効果の恩恵を受けた。海口税関によると、春節期間中の離島免税売上高は27億2,000万元(約571億2,000万円)で、前年同期比30.8%増。販売点数は199万7,000点、利用者は32万5,000人で、それぞれ21.9%増、35.4%増となった。1日平均売上高は3億300万元(約63億6,300万円)に達している。

文化の発信力拡大も追い風に

政策面の後押しに加え、中国伝統文化の国際的な影響力拡大も訪中意欲を高めている。中国旅游研究院の戴斌院長は、ゲーム『黒神話:悟空』のヒットをきっかけに山西省大同など関連地域への関心が高まり、現地の伝統文化や民俗行事が外国人観光客を引きつけていると指摘する。

免ビザ拡大、消費環境の整備、文化発信力の向上――複数の要因が重なり、中国のインバウンド市場は量的回復から質的拡大へと段階を進めつつある。各地が示した春節の「成績表」は、その変化の始まりを映し出している。

(中国経済新聞)