中国中央紀律検査委員会および国家監察委員会の公式サイトが17日に発表したところによると、中南大学(湖南省長沙市)元党委員会常務委員・学長である張尭学(ちょう・ぎょうがく)氏が、重大な規律違反および違法行為の疑いで調査を受けていることが明らかになった。
張氏は1956年に湖南省で生まれ、中国工程院院士(アカデミー会員)であり、コンピュータネットワーク分野の著名な専門家として知られている。1982年に西北電訊工程学院(二系、現・西安電子科技大学)を卒業し、1989年に日本の東北大学で工学博士号を取得した。
1995年には中国国内で初となる国産ネットワークルーターの開発を主導し、その産業化を推進。さらに、アクティブサービスやトランスペアレント・コンピューティング(透明計算)といった新領域の研究を先駆けて進めた。情報の「記憶」「演算」「管理」を分離する独自の「時空拡張フォン・ノイマン構造」を提唱し、クラウド上でのソフトウェア実行を可能にする計算理論とその応用製品を実現したことでも高く評価されている。
張氏の研究成果は、システムソフトウェアやアプリケーションソフトのクラウド化、さらには異なる端末間での分散実行を可能にする新しいネットワーク計算の枠組みとして、広く実用化された。
近年は、知能型オペレーティングシステム(OS)やビッグデータ、端末・エッジ・クラウドの協調によるインテリジェントコンピューティングなどを主要研究テーマとしていた。
その功績により、国家自然科学賞(1等)、国家技術発明賞(2等)、国家科学技術進歩賞(2等)などを受賞。さらに、何梁何利科学技術進歩賞など数多くの栄誉を受けている。
一方で、中国政府による「学術界・教育界の廉政(クリーンガバナンス)強化」方針のもと、近年は大学幹部や研究機関トップへの調査が相次いでおり、今回の張氏の調査もその一環とみられている。
張氏の詳細な容疑内容や関係機関の今後の対応については、続報が待たれる。
(中国経済新聞)