30社以上の日本企業が武漢を訪れ、ビジネスチャンスを探る

2025/09/30 11:45

中国武漢市人民政府が主催し、アジア通信社(中国経済新聞)と中国環球網が共催する第1回「2025年日本企業武漢進出」イベントが、9月24日から27日にかけて開催された。トヨタ自動車、パナソニック、川崎重工、JFE、岩谷産業、三浦工業、トヨタ通商、双日、康肯半導体、動力科技、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、東京未来医療センター、大阪桜橋渡辺医療病院、持田製薬、武尊会養老グループなど、30社以上の日本企業がこのイベントに参加した。

多くの外資系企業が中国経済に対して様子見の姿勢をとる中、なぜこれほど多くの有名な日本企業が依然として情熱を持って武漢を訪れ、市場調査や産業連携を行っているのだろうか?

双日(中国)有限公司の総経理有賀謙一氏は、双日グループは160年の歴史を持ち、1903年にはすでに中国に会社を設立していたと述べた。武漢は中国の中心に位置し、物流が発達しており、市場の影響範囲が広い。また、武漢には理工系の大学が多く、優秀な人材が豊富である。この2点だけで日本企業を十分に惹きつける理由になると語った。

アジア細胞治療学会の理事長下坂皓洋氏は、武漢には革新的な企業やイノベーション拠点が数多くあり、この都市の活気あふれるエネルギーを感じることができると述べた。武漢の人々には、諦めない、果敢に挑戦する精神があると評価した。

武漢市市長の盛閲春氏は、日本企業視察団との会談で、武漢の5つの魅力を紹介した。彼は武漢のピンイン「WUHAN」を巧みに解釈した:

「W」はWater(水)を表す。武漢は「百湖の都」と呼ばれ、160の湖と多くの湿地があり、美しい水辺の風景が広がる。東湖は中国最大の都市湖である。

「U」はUniversity(大学)を表す。武漢には92の大学があり、135万人の学生と81人の院士がいる。「大学の街」であるだけでなく、「大学生の街」であり、科学技術イノベーション能力は世界ランキング18位である。

「H」はHigh-tech(ハイテク)を表す。武漢には1.6万社のハイテク企業があり、1兆元規模の産業クラスターを目指している。経済総額は2兆元を超え、今年上半期の経済成長率は5.5%で、全国4位にランクインした。

「A」はArt(芸術)を表す。武漢は3500年の歴史を持つ都市で、三国志の舞台であり、有名な「赤壁の戦い」の地でもある。黄鶴楼は国内外で名高い、歴史と文化芸術の深い蓄積がある。

「N」はNetwork(ネットワーク)を表す。武漢は中国のハブ都市であり、水・陸・空の交通網が発達している。専用貨物空港があり、中欧班列(中国と欧州を結ぶ貨物列車)も急速に発展。江河海の連運は奇跡を創出し、水・陸・空の「新シルクロード」を構築している。

盛市長は、日本は武漢最大の海外投資国であり、すでに350社以上の日本企業が武漢に進出していると述べた。中日両国は「離れられない隣人」であり、産業、科学技術、医療、教育などの分野での協力を強化することを期待していると語った。

3日間の視察期間中、日本企業視察団は水素エネルギー、再生医療、ヘルスケアの3つの分野に分かれてフォーラムを開催し、武漢の企業と直接対話を行った。また、武漢の企業や科学技術パークを視察し、最終的に日本企業と武漢市は2つの協力協議書にサインした:

1. 中日水素エネルギー協力基金の共同設立:武漢の「水素エネルギー社会」構築を推進する。動力水素エネルギーに注力するトヨタ自動車、家庭向け水素エネルギー事業に取り組むパナソニック、船舶用水素エンジンを開発する川崎重工、日本最大のガス製造企業である岩谷産業などが、資金と技術の積極的な参加を表明した。

2. 中日再生医療協力パークの共同設立:東京未来医療センターが主導し、日本の先進的なAI総合健康診断システム、3D幹細胞培養施設、iPS細胞心臓修復技術、幹細胞膝関節治療技術および医薬品を武漢市硚口区に導入し、硚口区政府と共同で中日友好医療機関を建設する。

これらの協定を具体化するため、日本企業と武漢市政府は専門チームを組織して連携と実行を進め、来春に成果を上げることを目指す。

(文:徐静波)

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【筆者】徐静波、中国浙江省生まれ。1992年来日、東海大学大学院に留学。2000年、アジア通信社を設立。翌年、「中国経済新聞」を創刊。2009年、中国語ニュースサイト「日本新聞網」を創刊。1997年から連続23年間、中国共産党全国大会、全人代を取材。2020年、日本政府から感謝状を贈られた。

 講演暦:経団連、日本商工会議所など。著書『株式会社中華人民共和国』、『2023年の中国』、『静観日本』、『日本人の活法』など。訳書『一勝九敗』(柳井正氏著)など多数。

 日本記者クラブ会員。