中国に139の「縮小都市」が出現

2025/09/18 11:00

近年、中国の都市化の新たな課題として「縮小都市」が注目を集める。『河南社会科学』2025年9月号の論文によれば、全国で139の都市が「縮小都市」に分類される。哈爾濱(ハルビン)、鞍山、鶴崗といった東北部の都市や、定西、哈密などの西部の都市が含まれる。

縮小都市は、都市部の常住人口が連続3年以上減少する状態と定義される。主な原因には、資源の枯渇、産業転換の遅れ、地理的な辺境性、大都市による人口の「虹吸効果」が挙げられる。特に東北部や中西部の都市が顕著な影響を受ける。1990年から2020年の人口センサスに基づく研究によれば、全国の地級市(日本の都道府県に相当)の40%以上が人口縮小を経験し、80~180の都市が縮小都市に該当すると推定される。鄭州大学の湯凱教授は、139の縮小都市を特定し、黒竜江省、遼寧省、四川省がそれぞれ12都市で最多と報告する。南京大学の陳友華教授のチームは、人口、経済、空間の3指標で273の地級市を分析し、180以上の都市が少なくとも1つの指標で縮小すると結論付ける。

中国の都市化は、改革開放以降の数十年間、急速な拡大を特徴とする。大規模な開発や「大拆大建」(大規模な取り壊しと建設)、無計画な「パンケーキ型」拡大が一般的であった。しかし、2019年に都市化率が60%を超えたことを契機に、国家発展改革委員会が「縮小型都市」の概念を導入する。これにより、拡大一辺倒ではない新たな都市発展の方向性が示される。縮小都市は危機を意味せず、適切な対応により新たな発展の機会を生み出せる。

縮小都市の課題に対処する戦略として、「スマートな縮小」(精明収縮)が注目される。これは、人口を集中させ、空間利用を効率化し、公共サービスの質を向上させることで、都市をコンパクトで持続可能な形に再編するアプローチである。例えば、インフラやサービスを人口密度の高いエリアに集約することで、都市の回復力や効率性を高め、次の成長に向けた基盤を構築する。この戦略は、東北部や中西部の資源依存型都市や辺境都市において有効とされる。

2025年に入り、縮小都市をめぐる政策議論が加速する。3月に民政部の盧治原部長が「人口縮小地域の行政区画最適化」を提唱する。8月には『都市の高品質な発展を推進する意見』が発表され、「行政区画の慎重な最適化」が強調される。9月には、国家発展改革委員会の都市・小城鎮改革発展センターの高国力主任が、縮小都市の「統合や撤廃」の可能性に言及する。一連の発言は、縮小都市の行政区画調整が学術研究の段階から政策の具体化へ進むことを示す。学界では、黒竜江省の安達、依蘭、鶴崗、鶏西、七台河などが統合や撤廃の候補として挙げられる。

縮小都市の増加は、中国の都市化が新たな段階に入ったことを示す。従来の拡大志向から、質の高い発展を重視する方向へシフトする中、縮小都市は問題ではなく、都市の再構築や地域資源の最適化の機会である。行政区画の再編や「スマートな縮小」を通じて、都市の効率性や持続可能性を高めることが期待される。しかし、どの都市が統合や撤廃の対象となるかは、地域経済や住民生活への影響を考慮し、慎重な議論が必要である。

(中国経済新聞)