国務院が10地域の要素市場化配置総合改革パイロット承認

2025/09/11 18:09

9月11日、中国国務院は、北京都市副中心、蘇南重点都市(南京・無錫・蘇州など)、杭甬温(杭州・寧波・温州)、合肥都市圏、福厦泉(福州・厦門・泉州)、鄭州市、長株潭(長沙・株洲・湘潭)、粤港澳大湾区内地9市(広州・深セン・珠海・仏山・江門・肇慶・恵州・東莞・中山)、重慶市、成都市の計10地域で、要素市場化配置総合改革パイロットを即時から2年間実施することを承認した。この改革は、土地・労働・資本・技術・データなどの生産要素を市場メカニズムで効率的に配置し、高品質な発展を促進することを目的とする。

中国は2022年に国務院弁公庁が「要素市場化配置総合改革パイロット全体方案」を公布し、2021年から2025年までの「三歩走」戦略を策定した。2022年までにパイロット地域のレイアウトと実施計画の承認を完了、2023年までに段階的成果を達成、2025年までに基本的な任務を完了し、全国的な要素市場制度のデモンストレーションを目指す。この最新承認は、2025年という目標年を目前に控え、具体的な地域指定を進めたもので、国家発展改革委員会の関係者によると、改革は技術・土地などの要素を対象に、都市部のイノベーションと持続可能な成長を加速させるものだ。

これらの地域は、中国の経済・技術・都市開発の重要拠点を選定したものだ。例えば、北京都市副中心は首都機能の分散を担い、デジタル経済の推進が期待される。蘇南重点都市は長江デルタの製造業ハブとして、杭甬温は浙江省のイノベーション中心、合肥都市圏は安徽省の科学都市として知られる。福厦泉は福建省の海洋経済、鄭州市は河南省の交通結節点、長株潭は湖南省の産業クラスター、成都市は四川省の西部開発の中心だ。特に、粤港澳大湾区内地9市は、香港・マカオとの統合を強化し、国際的な要素市場を構築する。

粤港澳大湾区内地9市の改革実施計画は、7つの主要分野と22の具体的内容に分かれる。対象地域は広東省の広州、深セン、珠海、仏山、江門、肇慶、恵州、東莞、中山の全域をカバーする。主要内容には、土地要素の市場化配置、技術移転の促進、データ要素の流通、労働力の最適化、資本市場の深化改革などが含まれる。例えば、深センではハイテク企業の技術要素取引プラットフォームを強化し、広州では土地利用の効率化を図る。これにより、大湾区全体のGDP成長を後押しし、2025年までに要素市場の統合度を高める目標だ。

北京都市副中心:首都の副中心として、行政・文化・イノベーションの機能を集約。改革により、データ要素市場を構築し、スマートシティ化を加速。

蘇南重点都市・杭甬温・合肥都市圏:長江経済ベルトの核心部で、製造業とハイテク産業の要素流動を促進。合肥では量子コンピューティングなどの先端技術の市場化を推進。

福厦泉・鄭州市・長株潭:中部・東南部の成長エンジンとして、物流・農業要素の改革を焦点に、都市圏の連携を強化。

重慶市・成都市:西部陸海新通道の要衝で、資本と労働力の市場化により、輸出指向型経済を活性化。

粤港澳大湾区内地9市:国際金融・技術ハブとして、クロスボーダー要素取引を試験的に実施。香港・マカオとのシームレスな統合を目指す。

これらのパイロットは、2025年の中国経済全体の構造改革に寄与する見込みだ。国家発展改革委員会の関係者は、「要素市場の改革は、高品質発展の基盤を固め、双循環パターンを支える」と強調している。

国務院の今回の承認は、中国の要素市場化改革を地域レベルで加速させる重要な一歩だ。10地域の多様な特性を活かし、2025年までに目に見える成果を上げることで、全国的な制度革新のモデルとなる。経済グローバル化の時代に、中国の都市開発がどのように進化するかに注目が集まる。

(中国経済新聞)