中国の多くの都市では、中小学生の「校内昼寝」が日常的な光景となっている。しかし、従来のデスクと椅子は機能が単一で、昼寝の際には机に突っ伏して寝る「うつぶせ寝」しかできなかった。この姿勢が長期間続くと、子どもの頸椎や関節に負担がかかり、成長発達に悪影響を及ぼすだけでなく、快適でない昼寝は午後の学習効率の低下にもつながる。
この問題を解決するため、中国の多くの学校では「変形」機能を持つデスクチェアを導入し、授業中は通常のデスクチェアとして使用し、昼休みには快適に横になれる形態に切り替えられるようにしている。

中国国家市場監督管理総局は9月2日、『中小学生昼寝用デスクチェア通用技術要求』という国家基準を承認・公布し、2025年2月1日から正式に施行される。この基準は、折り畳み式昼寝用デスクチェアの設計、製造、使用に至る全過程を初めて明確に規定するものだ。
現在、平らにしたり傾けたりできるさまざまな昼寝用デスクチェアが中国各地の学校で使用されている。このデスクチェアの最大の特徴は「変形」機能だ。授業中は標準的なデスクチェアとして機能し、昼休みのベルが鳴ると簡単に形態を切り替え、学生が快適に横になって休息できる状態になる。これにより、校内の昼休みが「我慢のうつぶせ寝」から「快適な横寝」に変わった。
たとえば、福建省泉州市の東星実験小学校では、学生がノブを回すだけで椅子の背もたれを倒し、脚置きを上げると昼寝用のベッドに変形する。高学年向けの昼寝用デスクチェアでは、後ろの列の机を背もたれの一部として利用でき、教室が瞬時に昼寝可能な仮宿舎に変わる。

各地で採用されている昼寝用デスクチェアはデザインが多様だが、新たに制定された『中小学生昼寝用デスクチェア通用技術要求』により、統一された国家基準が設けられる。この基準は、学生の昼寝の快適さを十分に考慮している。たとえば、展開後の総長は1メートルを超え、学生が体を伸ばして休めるように設計されている。背もたれは135度以上の角度まで倒れ、半横に近い快適な姿勢を確保。さらに、頭枕や脚置きの位置にも明確な寸法要件があり、子どもたちが質の良い睡眠を取れるよう配慮されている。
現在主流の昼寝用デスクチェアには、「机がベッドになる」「椅子がベッドになる」「机と椅子が一体となってベッドになる」の3つの形態があり、新基準には後者の2つが含まれる。各形態には、寸法や設計に関する具体的な要件が定められている。
中国教育科学研究院の儲朝暉研究員は、この基準の普及がすべてのデスクチェアを昼寝用に変更することを意味するものではなく、各地の学校が実際の状況に応じて採用を決定できると述べた。
新基準の公布は、関連する基準の空白を埋め、企業による製造や学校による調達を容易にする一方、昼寝用デスクチェアを利用する学生の数と割合の増加にも寄与する。これは、中小学校の運営過程で一般的に見られる新たな問題や状況に対し、迅速に対応した結果と言える。
この取り組みにより、中国の学生の健康と学習環境がさらに改善され、快適な昼休みが子どもの成長と学業効率の向上に貢献することが期待される。
(中国経済新聞)